シンガポール最大手銀DBS傘下の仮想通貨取引所、ローンチから取引高10倍に

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新規事業が好調

シンガポール最大手の商業銀行、DBS銀行が運営する暗号資産(仮想通貨)取引所、「DBSデジタル取引所」の業績内容が発表され、順調な滑り出しを見せたことがわかった。

DBSグループのPiyush Gupta最高経営責任者は、マスコミ向けの報告会で、昨年12月に立ち上げたDBSデジタル取引所の第1四半期決算の業績について説明。同取引所の管理資産は、現在8,000万ドル(約87.5億円)となり、1日の取引量は3,000万ドルから4,000万ドル(約32.8~43.7億円)で当初から10倍に成長したという。

DBSデジタル取引所のサービス対象者は、機関投資家および適格投資家に限定されているが、顧客数は現在120名で、さらに数百名が見込まれているという。

また、第2四半期には、第一弾のセキュリティトークン・オファリング(STO)を予定しており、営業時間もアジア時間から、24時間365日に変更。今年下半期には、取引所事業の牽引力がさらに高まるだろうとGupta氏は述べた。

DBSデジタル取引所の特徴

DBSデジタル取引所は、4種の主要仮想通貨、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、XRP(リップル)、ビットコインキャッシュ(BCH)と、日本円を含む4種類の法定通貨(シンガポールドル、米ドル、香港ドル)に対応する取引サービスを提供。資産を保管管理するカストディサービスも、同時に提供している。

また、企業は、今後展開予定のセキュリティトークンのプラットフォームを利用して、有価証券や資産をデジタル化し、資金調達を行うことが可能になる。そのため、資産のトークン化から、取引、カストディまでを統合したエコシステムが実現すると考えられている。

新たなブロックチェーン企業設立

Gupta氏は、もう一つの新規事業として、米投資銀大手のJPモルガンとシンガポールの政府系ファンド「Temasek」と共同で設立した新たなテクノロジー企業の事業内容を紹介。ブロックチェーン技術を用いて、新たな国際決済を提供するプラットフォームを構築すると述べた。

まずはシンガポールドルと米ドル間の決済からはじめ、オープンなプラットフォームを目指す。同氏によると、ユーロ、英ポンド、人民元などもシステムに取り込めるよう、積極的に多くの銀行と話し合いを行っているとのことだ。

共同設立した企業「Partior」の対象は、主に銀行などの金融機関だが、新たな決済インフラの構築により、DBS銀行の顧客サービス内容もさらに充実するとGupta氏は説明。送金だけではなく、証券のDVP決済、多通貨同時決済(PVP)、資産市場や証券市場なども、新しいプラットフォームで再構築し、顧客へ提供することが可能だと考えているという。

さらに、開発した技術を第三者へライセンス提供することで、新たな収入源を確保できるとGupta氏は語った。

 

好調な業績

Gupta氏は、DBSデジタル取引所やPartiorなどの新規事業は、デジタルインフラを構築することで、「ニューエコノミーにおけるDBSグループの地位をより向上させる」とその将来性を高く評価しているようだ。

DBS銀行は東南アジア最大手の銀行でもある。

DBSグループのChng Sok Hui最高財務責任者は、第1四半期の純利益が創業以来初めて、20億ドル(約2187億円)を突破したと報告した。これは、前四半期比で2倍、前年同期比では72%の増加となり、記録的な業績を達成したと述べている。

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