コインベースの慈善活動部門
米国の大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは4日、新たに社会貢献プログラム「Coinbase Giving」の発足を発表した。仮想通貨を活用して、世界中の人々に経済的な支援を施すことを目指す。
コインベースは米国で最大級の仮想通貨取引所。4月にナスダック上場を果たしたばかりだった。
今回の発表でコインベース社は慈善団体『Pledge 1%』と連携して、以下の3点に焦点を置く社会貢献活動を行なっていく方針を示した。
- 仮想通貨に関する教育・アクセス手段の増加
- クリプト経済を支えるプロトコルの開発促進
- 場所を問わず、次世代のクリプト人材を育成する
Pledge1%との連携を通して、コインベースの企業利益、株式、並びに従業員の労働時間の1%をそれぞれ慈善活動に充てることで、仮想通貨を通して世界の人々を支援することを目的としている。
具体的な取り組みは以下の通りだ。
- NPO団体GiveCryptoをコインベース傘下の非営利法人に
- クリプト・コミュニティファンドの拡大
- 次世代の人材育成
- 従業員によるNPOへの寄付を最大500ドルまでマッチするプログラム
GiveCryptoは2018年に設立されたNPO。仮想通貨の寄付を通して金銭的に恵まれない人々の支援、起業や経済的自由の達成などを支援する取り組みだ。
コインベース傘下のNPO団体にすることで、コインベースの投入資金の増加、またよりダイレクトに支援したいコインベースのユーザーにも対応できる体制を作るという。
また、クリプト・コミュニティファンドは仮想通貨業界全体の発展と成長を目指すファンド。これまでには累計20万ドル(2,200万円)が寄付されてきたが、2021年にはこの額を200万ドル(2億円)まで拡大する予定であると説明した。
さらに、STEM領域における女性やマイノリティー層の人材育成に焦点を置くNPO団体『Base 11』と連携して、仮想通貨業界の次世代の人材育成にも貢献する。
STEMは科学、技術、工学、数学など、一般的には女性の割合が少ないとされる理系分野を指す。ブロックチェーン業界もSTEMに該当するため、次世代の女性、およびマイノリティー層にエデュケーションを提供することで人材育成を目指す取り組みだ。
その他にも、6月からはコインベース従業員が選択するNPO団体への寄付金を一人当たり最大500ドル(54,000円)までマッチするプログラムも開始する予定となっている。
背景としては、20年5月末に米国で起きたGeorge Floyd氏の殺人事件以降 、アメリカで民族的な緊張感が高まっていた中、コインベースのBrian Armstrong CEOが「本業以外のアクティビズムや政治的な活動を仕事で行う」ことを禁止する声明を発表した経緯がある。
今回のマッチ・プログラムを通じて、従業員が重大と見る問題に貢献することが可能となる格好だ。