仮想通貨を保有する公務員が増加
ウクライナの公務員650人以上が、合計46,000以上のビットコイン(BTC)を保有している可能性がある。日本円相当額で、時価2,900億円にものぼる計算だ。ただし、この数字には疑問の声も挙がっている。
これは地元のデータ分析プラットフォームOpendatabotが、公務員の2020年度財産申告に基づいて、4月7日に発表した集計だ。79万人以上の公務員のうち、暗号資産(仮想通貨)を所有していると報告したのは652人だった。
その中では、ドニプロ市議会のVyacheslav Mishalov議員が約18,000 BTC(時価1,300億円相当)と最も多額の保有を申告。2位は、駐ベトナムのウクライナ大使館職員Petro Lansky氏の6,528 BTC、3位はオデッサ地域評議会のAlexander Urbansky副議長の5,328 BTCと続いた。
まだ割合は少ないものの、近年ウクライナでは仮想通貨の保有を申告する公務員の数が増えている。一方、2016年には保有を報告したのは25人のみだった。
銘柄については、大多数がビットコイン(61.1%)とイーサリアム(ETH)(24.2%)を保有していた。これらに続くアルトコインとしては、ライトコイン(LTC)が4.2%、カルダノ(ADA)とステラ(XML)が共に2.8%を占めているという。
仮想通貨を積極活用するウクライナ
この統計結果について、仮想通貨ウォレットなどを提供する企業CoinspaidのMax Krupyshev CEOは、「ウクライナは仮想通貨をめぐる活動が活発であるため、公務員が仮想通貨に精通していることは驚くに当たらない」、とニュースメディアDecryptに述べた。
さらにKrupyshev氏は、仮想通貨を保有する公務員の数が増えると、デジタル資産の採用や規制の面で前向きな変化をもたらすメリットがあることを指摘している。
2020年にブロックチェーン分析会社Chainalysisが発表したレポートでは、日常的に仮想通貨が使用されている国としてウクライナが第一位にランクインしていた。ウクライナのデジタル改革省によると、技術に通じる人口が多いことや、株式市場が国内にないことなどの要因が背景にあるようだ。
汚職資金を隠蔽する口実である可能性も
余剰電力を仮想通貨マイニングに使用することを政府が計画するなど積極的な姿勢をみせるウクライナだが、一方ではまだ仮想通貨の明確な法的位置付けは定まっていない。
現状では、仮想通貨の出所を報告する義務がなく、ビットコインなどについて任意の金額を申告できる状況だった。このため、賄賂などの不正手法で得た収入を説明するために、仮想通貨の取扱いなどが口実として使われる可能性があるとの指摘も見られている。
当局もこのことを注視しており、今回のビットコイン保有額の報告を受けて、ウクライナの国立汚職防止庁(NAPC)の監査部門責任者Sergiy Petukhov氏は、申告された仮想通貨について調査する場合があると発言した。
申告の信頼性に疑問がある場合は、本当にその仮想通貨を保有しているか、購入のための資金が送金されたか、また購入資金の出所などについて調査する用意があるという。
Petukhov氏がこの内容を自身のFacebookに投稿した後、約18,000 BTCの保有を報告していたMishalov議員は申告内容を撤回している。ウクライナのテレビに出演した同議員は、数字を間違えて記入したため、現在修正中だとコメント。ビットコインは持っているが、報告した額ほどは多くないと語った。
一方、5,328 BTCを保有申告したUrbansky副議長は「2009年に1ドルの価格でビットコインを購入した」と話している。
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