トークン化の意義
不動産、債券、美術品、その他のコレクターアイテムといった資産を購入・管理することに、これまでは困難がつきものでした。資産の購入・管理には手続きや時間が必要で、事前に多額の資金を用意しなければならなかったのです。
世界の大多数の人々にとっては、購入・管理に必要な費用が高額であるため、これらに手を出すことは長きにわたり不可能に近い存在でした。
しかしNFT(非代替性トークン)をはじめとするトークン化は、所有権をデジタル化することで、新しいビジネスのあり方を提示してくれています。デジタルアーティストのBeepleがドナルド・トランプのNFTを660万ドル(約7億3,000万円)で販売したことや、NBAがファンにお気に入りのスターのビデオクリップをNFTで購入させたことに象徴されるように、NFT(非代替性トークン)の人気が高まっていることも、新しい市場を開拓し、ブロックチェーンで管理されたコレクターズアイテムやその他のユニークな資産の所有が可能になりました。
この記事では、以下の点について解説します。
- トークン化とは
- トークン化の仕組み
- トークンの種類
・FT(ファンジブル・トークン)
・NFT(ノンファンジブル・トークン) - トークン化のメリット
- トークン化を支える技術
- 残された課題
- トークンエコノミーの未来
1. トークン化とは
トークン化(トークナイゼーション)とは、物理的な資産や仮想的な資産を、売買可能なデジタル単位に変換することを指します。トークン化により、地域的な障壁や仲介者を排除し、資産を細かく分割できます。
この性質のおかげで、大きな資金を持たない投資家であっても市場に参加できるようになります。現在では、美術品や金、不動産など、多様な資産がトークン化されつつあります。
トークン化は資産への投資方法を変革させ、企業はトークンエコノミクスを、新たな市場の創出や売上拡大の手段と見なすようになっています。世界のトークン化市場は、2020年の19億ドル(約2,100億円)から、2025年には48億ドル(約5,300億円)に急増し、1年あたりの平均成長率は19.5%になると予測する調査もあります。
またトークン化は、バーチャルゲーム業界に定着しつつあります。全米プロバスケットボール協会(National Basketball Association)は、NBA Top Shotに本格的に取り組むことを20年の秋に表明し、多くの人を驚かせました。
NBA Top Shotは、ファンが公式ライセンスを受けた特定のビデオハイライトの番号付きバージョンをトークン化して取引できる、コレクター向けのNFTです。最近では、LeBron JamesのダンクシュートのNFTが20万ドル(約2,200万円)以上で落札されました。
トークン化は、貴金属の分野でも顕著になりつつあります。英国王立造幣局の支援を受けた金(ゴールド)のトークン化を進めるRoyal Mint Gold(RMG)というプロジェクトも存在します。
また、通貨のトークン化も行われており、仮想通貨の利点と法定通貨の裏付けによる安定性を兼ね備えたステーブルコインも登場しています。
2. トークン化の仕組み
トークン化は2021年前半、ブロックチェーン分野で特に盛り上がっている分野です。しかしながら、トークン化の概念は以前から存在していました。
古くは1970年代に、トークン化は金融企業が普及させたデータセキュリティの仕組みとして捉えられていました。
これらの企業は、文字と数字を組み合わせ、顧客の機密情報を置き換えて管理。トークン化を利用して、クレジットカード番号や個人情報、財務諸表など、顧客の機密情報を保護する仕組みです。
Apple Payを例に挙げてみましょう。Apple社は顧客のカード情報を受け取り、それをトークンに置き換えます。
一連の処理は非常に迅速に行われるため、ユーザー側が気づかない場面も多々あります。またトークン化は、病院の記録や有権者の登録などにも利用されています。
決済の分野では、トークンを使ってクラウドの機密データを置き換えます。ブロックチェーンの分野では、トークンは物理的な資産やデジタル資産のほか、所有権や議決権など、特定のシステムにおける価値の単位を表すために使用されています。
例えば、あなたが1,000万ドル(約11億円)の価値のある農場を持っていると仮定しましょう。トークン化することで、農場の所有権を分割し、より多くの投資家グループに資産を開放することが可能になります。
既存の方法と異なるのは、農場の所有権を分割するのではなく、「FARM」というデジタルトークンを作成することです。1つのFARMが農場の0.1%の価値を持つとすると、1トークンあたり1万ドル(約110万円)になります。このFARMトークンを持つ投資家は、細分化された農場の所有権を有している、と考えることができます。
実用例としては、Elevated Returns社がSt.Regis Aspen Resortのトークンを1,800万ドル(約20億円)で販売した例があります。この事例は、アセットのトークン化がどのように機能するかを示しています。
3. トークンの種類
一般的に、仮想通貨界隈におけるトークンには、ユーティリティー・トークンとセキュリティ・トークンの2種類があります。
ユーティリティートークンは、ユーザートークンやアプリケーショントークンとも呼ばれており、プロジェクトのクラウドセールの際などに配布されるトークンです。将来的に換金することも可能な価値を表現する手段としても機能します。
ユーティリティー・トークンの例としては、ファイルコイン(FIL)やBraveのベーシックアテンショントークン(BAT)などが挙げられます。
セキュリティトークンは、購入や転売が可能なデジタル資産の法的所有権を表すことができるトークンです。通常、セキュリティトークンオファリング(STO)を通じて投資家に配布されます。
セキュリティトークンは、企業の株式を表すこともあれば、ガバナンストークンのように、企業の重要な意思決定に対する投票権として利用することもできます。
先程の農場の例では、FARMトークンはセキュリティトークンに該当します。人々は、あなたの農場の株と引き換えに、このトークンを購入するのです。
話題性のあるセキュリティトークンの例としては、tZeroがあります。
トークンを分類する別の方法として、そのトークンが別のものに代替可能かどうか(ファンジビリティ)という観点での分類法もあります。
1. FT(ファンジブル・トークン)
FT(ファンジブル・トークン)とは、ある資産を同じ種類かつ同じ価値をもつ別の資産と交換できるトークンのことを指します。法定通貨はファンジブル・トークンの一例です。
たとえば、あなたが友人から100ドル(一万円札に相当)を借りて返そうとしたとしましょう。借りた紙幣をそのまま返す必要はありません。
別の100ドル札を渡してもいいし、10ドル札(千円札に相当)を10枚でも、50ドル札(五千円札)を2枚でも問題ありません。最終的な価値がすべて同じである限り、あなたが友人に負債を返済するのにどの紙幣を使うのかは関係ありません。
ファンジブル・トークンは、交換が容易なものです。ビットコイン、イーサリアム、XRPなどのほとんどの暗号通貨は、この観点からはファンジブル・トークンだと言えます。
2. NFT(ノンファンジブル・トークン)
一方、ノンファンジブル・トークン(NFT)は、特別な価値を持つように設計されています。それぞれのNFTは、絵画のようにユニークで、固有の価値を持ち、分割できず、相互交換もできません。
現実世界に存在するファンジブル・トークンに似た性質を持つ商品としては、中古車があります。上記の例で100ドル(約1万円)を貸してくれた友人から車を借りた場合、その友人は同じ車を返してほしいと考えると予想するのが自然でしょう。
返してもらう車が無傷である必要もあります。この場合の中古車は、不可分のモノであり、簡単には他の車と交換できません。
つまり友人の中古車は、ユニークな価値を持っていて、ノンファンジブル(非代替性)だと言えます。
ノンファンジブル・トークンが最初に世間の注目を集めたのは、ユニークで、その信憑性、出所、所有権がブロックチェーンに記録されている収集可能なデジタル・キャットであるCryptoKittiesでした。CryptoKittiesに登場するそれぞれのCryptoKittyは、それぞれがユニークな外観と価値を持っているため、細かく分割したり、他のCryptoKittyと交換したりすることが困難です。
あるCryptoKitty(出っ歯のラベンダー色の生物)は、かつて17万ドル(約1,900万円)以上で取引されたと報じられています。しかしその反面、10ドル(1,100円)以下で売られているCryptoKittyもたくさん存在します。
最近ではCryptoKitties以外にも、NFTは、アート、スポーツ、音楽、ファッションなどに利用されるケースが増えています。Twitter社のCEOであるジャック・ドーシー氏のような億万長者も、自分の初めてのツイートをトークン化してオークションにかけるなど、NFTの熱狂に便乗しています。
4. トークン化のメリット
NFTがアーティストやその他のコンテンツ制作者にとってお金になる可能性があるのはもちろんですが、その他にも資産をトークン化することで得られるメリットとして以下が挙げられます。
a. 仲介者の減少
株式市場で自社の株式を売ることを考えてみましょう。その際には、引受人をはじめ、証券保管振替機構、ブローカー、株主名簿管理人などの仲介者が必要です。
仲介者が増えるごとに、取引は複雑になり、コストも増加します。
しかしトークン化では仲介者がいなくなるため、オーナーはより早く、より少ないコストで資金調達が可能です。トークンの発行は迅速に行われ、その発行に要する資産も少なくて済みます。
また、トークンの裏付けとなるのは現物資産なので、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)よりもはるかにリスクが少なくて済むという見方もあります。
b. 取引の高速化
トークン化は、ブロックチェーンに組み込まれたスマートコントラクトによって達成されます。これは、現実社会では数日から数週間かかっていた資産の売買が、より早く、より安く実行できることを意味します。
c. 分割可能性と投資家の参入障壁の低下
NFTは分割できませんが、他の資産をトークン化することで、所有権を分割できるようになります。これにより市場に流動性が生まれ、投資対象としても有用視されるようにもなり得ます。
NFT以外のアート作品も、トークン化の優れたユースケースです。ピカソの2億ドル(約220億円)相当の絵画を1,000万個のトークンへとトークン化するケースを想定してみましょう。
これにより、この作品へ投資する敷居は、1トークンあたり20ドル(約2,200円)に下がります。これまで美術館や超一流のコレクターにしか手が届かなかったピカソのアートが、より多くの買い手にとって手の届くようになるのです。
つまり、ブロックチェーン技術は投資家の参入障壁を下げ、資産の所有者が販売を行う機会を増やしてくれる一面もあると言えます。
d. 不変性
従来のデータベースとは異なり、ブロックチェーンに記録されたものは永久に不可変です。つまり、ブロックチェーンの記録は変わることがないため、改ざんや変更、偽造も基本的には不可能です。
トークン化において不変性が重要なポイントは、資産の取引履歴や出所を追跡することが可能になる点です。トークンの起源、発行日、所有者の変更、売買された価格などを時系列で追跡することができ、これにより投資詐欺や盗難の可能性を大きく下げる利点があります。
5. トークン化を支える技術
トークン化には、スマートコントラクトが使用されています。スマートコントラクトは、ブロックチェーン上の当事者間の合意を仲介するプログラムのことです。
トークン化の場合、スマートコントラクトは、仲介者やその他の仲介者を排除することで、ある人があなたのトークンを購入し、あなたが提供する価値の一部を受け取れるようにします。
現在、トークン化に使用されている最も代表的なブロックチェーンプラットフォームは時価総額2位のイーサリアム(ETH)。2020年に仮想通貨リサーチ企業Messariが発表したデータによれば、分散型金融(DeFi)分野とERC-20トークンの台頭により、イーサリアムブロックチェーンは、ビットコインブロックチェーンをも上回る数のトランザクションを日々処理していることがわかっています。
しかし、イーサリアムブロックチェーン人気の急な高まりは、ネットワークの混雑やガス代の高騰にも繋がっており、結果としてイーサリアムの代替手段として着目されているポルカドットやHedera Hashgraph、カルダノやフロー(Flow)などのユーザーを増やしている部分もあります。
a. ERC-20トークン:トークン発行の標準規格
ERC-20トークンは、イーサリアムベースのトークンにおける代表的な規格です。トークン発行をシームレスに実行するため、イーサリアムブロックチェーン上のすべてのスマートコントラクトに使用される規格であり、アセットが従うべきルールが設定されています。
ERC-20規格を実行する仮想通貨の例としては、ベーシックアテンショントークン(BAT)やオミセゴー(OMG)などがあります。
ERC-20トークンには、運用する上で以下の6つの機能が備わっています。
- 供給総数を規定する機能(The total supply function):プロジェクトのエコシステム内で交換されるように作成されたトークンの総数を決定
- トランスファー機能(The transfer function):トークンをユーザーのウォレットに分配する機能。この機能のおかげで、ERC-20トークンは特にICO(Initial Coin Offering)で人気が出ました。
- transferFrom機能:最初の配布後に、トークン保有者同士で交換が可能になる機能
- Balance of機能:各ユーザーのウォレット内のトークン残高を確認
- 承認機能(The approve function):トークンの供給量が一定であることを保証し、違法行為を防止する機能
- 引当金機能(The allowance function):ブロックチェーンに追加する前に、取引が有効であることを保証する機能
イーサリアム規格上で動作するトークン規格は他にもあります。これらは以下の通りです。
b. ERC-223トークン
ERC-20トークンの重大な問題である、送金時にトークンが失われる問題を解決するため、ERC-223トークンは設計されました。ERC-223は、各取引をイーサリアムを取引するのと同様に、トランザクションをイベントとして扱う規格の提案です。
ERC-223は、ウォレットアドレスとスマートコントラクトの両方に同じ転送機能を使用できるため、ERC-20のセキュリティ上の懸念も改善されています。この送金機能により、無効な送金や資金の損失を効果的に防ぐことができます。
ERC-223規格は、ウォレットとスマートコントラクトに資金を送るための同じ機能を提供することで、この問題に効果的に対処しています。
c. ERC-721トークン
ERC-721トークンが最初に脚光を浴びたのは、イーサリアムベースのNFTコレクターアイテムであるCryptoKittiesの人気が高まったおかげだと言えます。
このトークンと他のERC規格との主な違いは、ERC-721を採用することで、開発者が簡単にNFTを作成できる点。ERC-721トークンは、同じエコシステムやプラットフォーム内で交換可能でありながら、他のトークンとは別の価値を持たせることができます。
d. ERC-777トークンとERC-820トークン
ERC-777トークンは、ERC-20トークンの規格を改良して作られたもの。ERC-223トークンが改善した資産移転にまつわる欠陥にも対応していますが、トランザクションの処理については異なります。
ERC-777規格を完全に理解するためには、まずERC-820規格を理解する必要があります。ERC-820規格では、イーサリアムネットワーク上に中央スマートコントラクトレジストリが設立されます。
ERC-820規格では、レジストリはイーサリアムネットワーク上に設置されており、誰もがスマートコントラクトのアドレスを調べ、サポートしている機能を確認できるようになります。
ERC-777は、ERC-820と同じレジストリを使用して、スマートコントラクトの機能の検証を容易にしています。また、ERC-20規格で定義している「転送」と「承認」の機能ではなく、新たな機能を設定。
また、ERC-20の「送金」と「承認」の機能をそのまま使用するのではなく、ETHそのものを送金する「送信」の機能で代用しています。
また、ERC-777では、プロジェクトのトークンの経済性を考慮して、トークンの焼却と発行の規格を採用しています。
6. 残された課題
トークン化には、いくつかの未解決の問題や潜在的な問題点が残っています。主なものは以下の通りです。
a. 規制の不明確さ
ブロックチェーン上の資産をトークン化することについて、規制がどのようになるのかは未だに不明確です。ブロックチェーン技術がボーダレスであることを考慮すると、各国の政府レベルで連携する必要があります。
規制当局はトークン化のすべての側面をカバーする法的枠組みを定義することを迫られています。
しかし現在、国によってセキュリティ(証券)を規定する法律や基準は異なるのも事実。そのため、ある国では証券として分類された資産が、別の国ではユーティリティー・トークンとして分類されることもしばしばあります。
このような分類の違いは、トークン保有者に混乱をもたらし、規制への対応を難航化させる要因になっています。
b. 運用の不確実性
デジタル・トークンを作成・管理する上で共通の基準がありません。トークンが広く受け入れられ、価値を持ち、簡単に売買されるためには、市場間の接続性とネットワーク間の相互運用性が必要だと言えます。
トークン化が主流になるためには、この課題を解決するために、最終的には政府の意見やブロックチェーン業界の協力が必要になるでしょう。
c. ハッキングと詐欺
トークンエコノミーは、詐欺の影響を受けやすい傾向にあります。たとえば、ハッカーがより洗練された操作を行うようになると、トークン保管プラットフォームがハッキングされる可能性もあります。
また、詐欺を働く人がいる、という課題もあります。「Pest Supply」という名前のトレーダーが、世界的に有名なアーティストであるバンクシーのサイン入りNFTを販売していることに、NFTの人気マーケットプレイスであるRaribleとOpenSeaではユーザーの数名が気づきました。
本物のバンクシーもポップアップ・セールを好むため、多くの人がこの業者の商品に群がり、商品を購入。しかしその後、この業者が偽物であることが判明しました。
それまでに、この人物は100万ドル(約1億円)以上の利益を得ており、ウォレットのメインアドレスに453ETH、セカンダリーアドレスに430ETHを受け取っていました。
d. 小口投資家に対するリスクの高まり
NFTの販売が最近急増しているものの、まだ比較的新しいものです。Twitter社のCEOであるジャック・ドーシー氏が初めてツイートした内容をNFT化したものは、250万ドル(約3億円)で落札されましたが、NBA Top Shotのように、プロバスケットボールのスター選手のビデオクリップなど、多くのNFTが100ドル(約1万円)以下で販売されており、小口の購入者もいます。
その中には、かつて野球のトレーディングカードを購入したように、純粋に趣味やコレクターとしてNFTを購入する人もいるかもしれません。また一部ではNFTの流行に乗って、一攫千金を狙っているユーザーもいるのも事実でしょう。
しかし将来的にはこのような状況が変わる可能性もあります。同時にブームが収まり価格が暴落し、投資家が巨額の損失を被る可能性もあります。
7. 「トークンエコノミー」の未来
トークンエコノミーは、金融業界に非流動性資産として滞留する資産を開放し、はるかに速く多くの取引を可能にします。取引はより安く、より早く実行されるようになるでしょう。
トークン化により、所得がそこまで多くなく、投資に参加できなかった人々へのハードルが下がり、マーケットに参加する人は増えると予想されます。しかし、一部の投資リスクは依然として残るでしょう。
不動産の例を見ると、トークン化は市場の流動性を向上させる機会にもなり得ます。
その性質上、建物は流動性は低いです。不動産投資信託(REIT)は、市場に流動性を提供するために導入されましたが、詐欺的な行為も横行している現状があります。トークン化により、不動産の取引をより良く、より透明で、より簡単に実施することが可能になるのです。
デジタルアートもまた、トークン化が進むと予想される分野のひとつです。物理的なアートは、自分の所有権やその真正性を証明する必要がある場合に、その価値を発揮するでしょう。
トークン化により、以前はウィスコンシン州のグラフィックデザイナーに過ぎなかったBeepleのようなアーティストが、自分の作品を発表し、多くの場合、その作品に対して報酬を得ることが容易になっています。世界のアート市場は、2018年には約674億ドル(約7.5兆円)の価値があり、その大部分は一部の富裕層の手だけに渡っていました。
しかし現在、クリスティーズのような著名なオークションハウスがデジタルアートの分野に参入しているにもかかわらず、その影響力は縮小しており、トークン化によってギャラリーや大口コレクターといった、これまでアート業界のゲートキーパーとしての影響力がさらに低下する可能性も想定されます。
また、仮想空間の土地などの資産を販売するような、ブロックチェーンネイティブな仮想世界の拡大も進んでいます。2018年、多人数参加型ロールプレイングゲーム(MMORPG)のDecentralandは、仮想世界に存在する土地の販売を開始。同社のLAND NFTは、最終的に1年間で他のどのNFTよりも多くの取引が行われました。
今のところ、規制の不確実性は、ブロックチェーンベースのトークン化の成長が直面する最も大きなハードルであることは事実です。しかし、NFTを中心に仮想通貨市場全体が成長していることから、政府や業界は早急に問題を解決するよう圧力をかけてくるかもしれません。
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