大手信託銀行BNYメロン、ビットコインのバリュエーション(価値査定)を分析

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BNYメロン、ビットコインの価値査定を分析

世界最大級の信託銀行のバンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNY Mellon)が今月、ビットコイン(BTC)のバリュエーション(価値査定)に関するレポートを公開したことがわかった。

ビットコインの価値査定については、「複数のモデルが有用」とする結論を展開しつつ、暗号資産(仮想通貨)の分析に詳しいPlanB氏やHasu氏などのデータを引用した。

BNYメロンは、米国で最古の歴史を誇る世界最大級の投資・カストディ銀行だ。2020年末時点のカストディ&アドミニストレーション資産残高は41.1兆ドル(約4300兆円)の資産残高を超える大手金融機関であり、今年2月にはビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)カストディーサービスを年内に開始する予定が明らかになった。

伝統金融モデルにフィットしない

一般的には、通貨の定義として「価値の保存」と「価値の交換」手段が挙げられる中、レポートではビットコインを「黎明期の通貨」の特徴を持つと形容。米ドルなど法定通貨の価値モデルは自国の経済状況にも左右されるが、仮想通貨はその構造上、発行国がないため、このような伝統的なモデルはフィットしないとした。

また、著名仮想通貨アナリストのPlanB氏が提唱する「S2F」モデルや、応用版の「S2FX」モデル、ビットコインのマイニングコストを考慮するコストモデルなど多数を紹介。しかし最終的には、ビットコインの価値査定は世界の通貨市場と同様、それぞれ長所と欠点の異なる複数のモデルを組み合わせることが、主流化しつつあるビットコインのバリュエーションに適しているとの結論に達した。

ビットコインと金の相違点

BNYメロンは、ビットコインと金(ゴールド)の類似点も紹介。両方とも「価値の保存」や「価値の交換」手段として使われている点や、単一の国家に発行が独占されていない点、供給量が一定している点などを挙げた。発行量に関しては、アメリカ地質調査所の調査を引用し、金の年平均成長率(CAGR)は1970年から2017年には1.6%だったのに対し、2133年までに総発行量(2100万BTC)を到達するビットコインの年平均成長率は、約1%になると分析した。

コモディティーである金(ゴールド)の場合、需要を生み出すのは金の希少価値であるに対し、ビットコインの場合は需要と供給のみを考慮する「S2F」モデルなどは短絡的であると指摘している。

ビットコインのバリュエーション方法

PoW(プルーフ・オブ・ワーク)を採用しているため、マイナーによる新通貨の採掘(マイニング)が行われるビットコインでは、マイニングに係る諸コストをベースにビットコイン価格の「最低価格」を算出する「Net Cost」モデルが存在する。

複数の調査レポートでも、ビットコインの本質的な価値を主張する上でこのモデルが利用されたが、BNYメロンはマイニングコストをベースにビットコイン価格を想定するのは賢明ではないと主張した。

将来的には電力コストのかからないシナリオも十分想定される上、コストの低下がそのままBTC価格の低下につながるわけではない点をその要因として挙げている。

出典:Coinmonks

BNYメロンのレポートは、著名仮想通貨アナリストのPlanB氏が提唱する「ストック・トゥ・フロー(S2F)」モデルも紹介した。総流通量を年間の新規発行量で割ることで算出されるS2Fモデルは、資産の本質的な価値を探すのではなく、単純に希少性を図る利点はあると述べつつ、欠点としてインフレーションや法定通貨の価値の毀損(ディベースメント)に対する懸念を考慮しない点を指摘。S2Fモデルは「シンプルでエレガント」と形容した。

さらに、年数と変わりゆくビットコインの説話(ナラティブ)を考慮したS2FX(ストック・トゥ・フロー・クロス・アセット)モデルも紹介。こちらもPlanB氏が考案したモデルで、年月の経過とともに銀や金と比較されるようになったビットコインを例えるフレーズを異なるクラスターに分けたものだ。

出典:BNY Mellon(Medium)

PlanB氏はビットコインは現在「フェーズ4」にあり、ビットコインが主流化して金と比較されることで希少価値が上昇、いずれBTCの時価総額が金(ゴールド)と同等の領域に到達すると提唱している。

しかしその反面、同モデルは20年5月の半減期時点(約1万ドル)で、ビットコイン価格が5万ドルになると予想したこともあり、BNYメロンは各クラスターのギャップが大きい点を欠点として指摘した。

他にも仮想通貨の電子決済とユーティリティを考慮したNVTモデルも紹介。仮想通貨の価値をネットワーク上で行われるトランザクションを基に算出するモデルは時価総額を日間の取引量で割り、金融市場で頻繁に活用されるPEレシオ(収益率)と近いとされる。

しかし近年、ビットコインの説話は「デジタル・ゴールド」や「価値の保存」など、実利用より保有することに焦点が置かれている点などを欠点として挙げた。

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