マイクロソフト開発のビットコインブロックチェーン基盤の分散型IDネットワーク、正式稼働に

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分散型IDネットワーク「ION」

米IT最大手マイクロソフトは、分散型のデジタルIDネットワーク「ION」が、ビットコイン(BTC)のメインネット上にローンチされたと発表した。

IONは、メールアドレスやパスワード、携帯番号等などの個人識別情報を暗号化し、デジタルIDを生成。ユーザー自身がIDを所有し、公開鍵と秘密鍵を使用して、ブロックチェーン上で管理することを可能にする。

マイクロソフト社は、2017年より分散型IDソリューションを開発する分散型認証財団(DIF)に参加し、IONの開発に携わってきた。DIFは、分散型認証システムの基準を設定するために設立され、米ブロックチェーン企業ConsenSysや米大手取引所Gemini、仮想通貨決済大手BitPayなども参加。なお、IONはこれらの企業からも独立したオープンソースの分散型ネットワークとして、DIFで開発されており、昨年6月にベータ版が公開された。

マイクロソフト社は、IONのメインネットローンチを機に、ION分散型識別子(DID=Decentralized Identifier)の採用を促進するために、同社がデプロイしたIONノードを公開するという。さらに、開発者がウォレットや分散型アプリ、また認証サービス等にION DIDを統合するのを支援するため、オープンソースライブラリを提供する。

IONの特徴

ION(Identity Overlay Network)は、DIFが開発するDIDプロトコル「Sidetree」を、ビットコインブロックチェーン上にレイヤー2として実装する、公開されたパーミッションレス型のネットワーク。

そのため、追加のコンセンサスメカニズムは必要ではなく、ビットコインネットワーク上で情報のトランザクションを実行する。また、新たに独自トークンを発行することもない。

IONは、ネットワークで毎秒数千回のDID操作をサポートするように設計されているという。また、IONのDIDは、その所有者だけが無効化することができるため、個人が自身のデータに対する権利を取り戻すことができると考えられている。

分散型ID技術の意義

デジタル化が進む現代社会において、個人のデータ漏洩やプライバシー侵害に対する懸念が高まる中、その解決策の一つとして注目されるのが、分散型の身元認証システムの開発だ。

その基盤となる技術が分散型識別子で、現在、標準化されている識別子が中央集権的な組織(政府、企業やプラットフォーム)に統合され、管理されているのに対し、DIDはそのような組織・団体から切り離され、独立して運営できるように設計される。DIDは個人が生成、所有し、かつ管理することが可能になる。

IONの場合、ビットコインを個人がそれぞれの方法で所有し、管理しているように、IONのデジタルIDも個人が目的や用途に合わせて、複数のIDを作成し、異なる鍵で管理することができるようになるという。

DIDは、ビットコインネットワークのような公共型ブロックチェーンの有力なユースケースとしても、注目されているようだ。インターネットの標準化団体W3Cは、DIDを国際標準として認定するか検討中で、今月、その技術や背景に関する詳細な文書が公開された。

分散化は金融だけにとどまらない、新たな時代の潮流となりつつあるのかもしれない。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

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