シンガポール政府系ファンドも出資
米国の大手暗号資産(仮想通貨)カストディ・信託銀行のAnchorageが、シンガポール政府系ファンドやa16zなどから、総額85億円の出資を受けたことを発表した。今回の出資は黒字経営など、事業が安定した段階で行われるシリーズCの投資ラウンドだった。
Anchorageは機関投資家に特化した仮想通貨カストディ企業。カストディのほか、トレーディングやステーキングなどのサービスも提供している。今年の1月、米通貨監督庁(OCC)から国法銀行の設立許可書を取得し、仮想通貨企業としては米国初の国法銀行(信託銀行)となっていた。
同社はこれまでVisa社やAndreessen Horowitzなどの大手企業から出資を受けており、今回の出資金額を加えれば、総額145億円を調達したことになる。
注目点は46兆円規模の資産を運用するシンガポール政府の投資公社であるGICも出資に参加したことだ。NIKKEI Asiaの報道によれば、2020年におけるGICの投資規模は1.8兆円にのぼり、政府系ファンドで見ると、カナダの「Canadian public pension fund CPP」の1.6兆円を上回り最も投資額が多かった。
またAnchorageは資金調達とともに、今後の事業戦略として新規プロトコルへの対応、レンディングの改善などを挙げた。
既にファイルコイン(FIL)やCeloなどの新規銘柄に対応したように、今後もより多くの新規プロトコルに対応する意向を表明。また仮想通貨レンディングサービスをより円滑に提供するために、レンディングプロダクトを改善していく方針を示した。さらに、機関投資家がDeFi(分散型金融)に容易にアクセスできるために関連サービスの継続的評価や新規サービスの検討を進めていく意欲も伝えた。
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