テスラ社CEO、ピーター・シフ氏に反論
米テスラ社のイーロン・マスクCEOが暗号資産(仮想通貨)ビットコインの価値や、テスラ社のビットコイン購入について、様々な著名人のツイートに返答する形で発言している。
具体的なコメントとしては、仮想通貨は貨幣の進化形態であるという趣旨のコメントをしたほか、ビットコインを法定通貨のヘッジ手段になり得るとして語る一方で、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の価格は現在すでに高い状況にあるとも語った。
ピーター・シフ氏への返答
一つ目のツイートとして話題を集めたのが、金(ゴールド)支持者仮想通貨に批判的なピーター・シフ氏が、仮想通貨は中央銀行の発行する法定通貨よりも価値がないものだと発言したことに対する返答だ。
これに対してマスク氏は次のように反論した。
An email saying you have gold is not the same as having gold. You might as well have crypto.
Money is just data that allows us to avoid the inconvenience of barter.
That data, like all data, is subject to latency & error. The system will evolve to that which minimizes both.
Elon Musk (@elonmusk) February 20, 2021
「あなたはゴールドを所有しています」と知らせてくれる電子メールを受け取ることは、実際にゴールドを持っていることとは違う。仮想通貨を持つ方がよい。お金は物々交換の不便さを回避するための単なるデータだ。そのデータは、すべてのデータと同様に、遅延やエラーの影響を受ける。システムは、この両方を最小化するものへと進化する。
現物ゴールドを手元に持たない場合には、それも信任の一形態であるとしつつ、仮想通貨は取引エラーなどを最小化する方向に進化したものだと示唆する発言のようだ。
マスク氏は続けて「そうは言っても、ビットコインとイーサリアムの価格は実際高いようにみえる」とツイートし、これらの仮想通貨が現在バブル相場にある(高騰している)状況に言及した。
ビットコインは2月20日に55,000ドルを突破し、対ドルの時価総額は執筆時現在1兆700億ドル(約112兆円)に達している。またイーサリアムも一時2,000ドルを突破し、執筆時現在の時価総額は2,214億ドル(約23兆円)になった。
法定通貨のヘッジとしてのビットコイン
また、大手仮想通貨取引所バイナンスCEOのCZ氏による「マスク氏はドージコインも支持しているものの、テスラ社が実際に購入しているのはビットコインだ」というコメントに対しては、次のように答えている。
Tesla’s action is not directly reflective of my opinion. Having some Bitcoin, which is simply a less dumb form of liquidity than cash, is adventurous enough for an S&P500 company.
Elon Musk (@elonmusk) February 19, 2021
テスラ社の行動は、私の意見を直接的に反映しているわけではない。キャッシュよりもましな流動性の形式であるビットコインを一定程度保有することでさえ、S&P500の企業にとっては非常に冒険的だ。
また続けて「私は投資家ではなくエンジニア」であるとして、投資のプロフェッショナルではないと強調しつつも、ビットコインを支持する理由を以下のように述べた。
法定通貨がマイナス金利である状況で、他の資産を探そうとしないのは愚か者だけだろう。ビットコインは法定紙幣とほぼ同じくらいくだらない。しかし「ほぼ」という部分が重要だ。
このことからはマスク氏がビットコインの仕組みなどについて全面的に賛成しているわけではないが、法定通貨のリスクヘッジとして捉えていることが窺える。
企業のビットコイン参入は続くか?
テスラ社が15億ドル相当のビットコインを購入したことが明らかになり、また同社が近い将来に自動車購入の方法としても受け付ける計画を発表したことを受けて、ビットコイン価格は急騰した。
テスラ社の動きは、米マイクロストラテジー社やスクエア社のビットコイン保有に続くものだったが、専門家は今後もビットコインを購入する企業が登場する可能性を指摘している。
例えばRBC Capital MarketsのアナリストMitch Steves氏は、アップル社が仮想通貨市場に参入する可能性について論じており、ビットコインをアップルのウォレットサービスで取引できるようにすることや、準備金の一部をビットコインに投資することがあり得ると独自の意見を述べた。
一方短期的な視点でみれば、ビットコインを購入する企業は、それほど多くないだろうとする調査もある。
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