相次ぐ企業のビットコイン市場参入 米国規制とBTC大口保有企業の新たな動き

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大手企業参入と規制の明確化

暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)は500万円を超え続伸している。

米電気自動車メーカー テスラ社による15億ドル(1600億円相当)のビットコイン購入が、すでに強気相場に突入していたビットコイン市場に追い風となったのは周知の通りだ。その後も米老舗銀行で世界最大手の信託銀行 バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)の仮想通貨カストディサービス参入、クレジットカード大手マスターカードの仮想通貨決済参入など、世界の金融大手が仮想通貨事業に関わり始めていることが、相次いで明らかになってきた。

このような状況を受け、米証券取引委員会(SEC)のHester Peirceコミッショナーは、明確な仮想通貨規制の体制を整えるため、何らかの行動を起こすことが急務であると述べた。仮想通貨支持の立場から「クリプトママ」の愛称でも知られるPeirce氏は、革新的な技術に支えられた仮想通貨の発展を妨げない、明確かつ柔軟なルール作りの必要性を提唱してきた。

Peirce委員長はロイターとのインタビューに応じ先月末注目を集めた「ロビンフッド事件」をはじめとするゲームストップ株などの「Reddit Rally」(レディット・ラリー)やテスラ購入により仮想通貨に対し高まる企業からの注目について言及。ゲームストップ株などの急騰から断言的な取り締まりを行うのは時期尚早としつつ、若い世代の投資家が市場に参加するのは良い動きだと述べた。

また仮想通貨の規制については、先週テスラ社の総額1550億円のビットコイン購入や大手企業が多数業界への参入を表明したことを受け、「ますます規制の明確化への緊急性を増す」と説明。引き続き米国の規制当局から仮想通貨に対する規制の明確化を強調した。

先月のForkastとのインタビューでPeirce氏は、「率先して明確な仮想通貨規制枠を設定していない」とSECの規制アプローチについて苦言を呈した。SECはこれまで、個別の仮想通貨関連企業に対する訴訟を通して、規制を明確にする手法を取ってきたが、「それは正しい方法ではない」と述べていた。

企業側の参入を妨げる規制の不確実性は、現在の状況から早急に対応するべき問題だとして、指摘した格好だ。

SECは昨年12月、米リップル社の販売した仮想通貨XRPが未登録証券にあたるとして、同社を提訴し、現在も係争中だ。来週22日(米時間)には審理前会議が予定されており、今後の日程調整等を行う。

ビットコイン投資戦略

一方、企業によるビットコイン投資に先鞭をつけた米MicroStrategy社は、事業戦略の一環として、継続してビットコインを購入する予定であることが、先日公開された年次報告書で明らかになった。

同報告書では「ビットコインの購入戦略」という項目が設けられ、同社のビットコインに対する取り組みが次のように説明されている。

  • 市場の状況に応じて、ビットコイン購入のための資金調達のため、債権または株式を発行
  • ビットコイン購入戦略は既存の分析ソフトおよびサービス事業を補完するものと位置付ける
  • ビットコイン購入は、同社ブランドの認知度を高め、新規顧客の獲得につながる
  • 定期的にビットコインに関する啓蒙活動を行う
  • ブロックチェーン分析等、ビットコイン関連技術を同社の製品に導入する機会を検討する

特筆すべきは財務資産としてビットコインを保有する方針の他にも、収益をビットコインの購入のための資金調達目的で時折「株式や負債の証券を通して資金調達を行う」可能性が示唆された点だろう。

報告書によると、2021年2月8日時点で、MicroStrategy社が保有するビットコインは7万1079BTC、購入総額は11億4500万ドル、平均購入価格は1BTCあたり1万6109ドル(約169万円)だという。(手数料・経費込み)

仮想通貨関連事業に参入か

このような取り組みを裏付ける同社の求人情報も、明らかになっている。「データインテリジェンスをブロックチェーンと仮想通貨の分野に導入する」ため、ブロックチェーン・データアナリストおよびデータエンジニアを募集している。新事業に関する詳細は明らかにされていないが、企業向けの情報分析ソフトが同社の主軸であることから、仮想通貨データ分析に関連する事業ではないかと推測される。

企業財務の観点からビットコイン投資に踏み切ったMicroStrategy社だが、同社の強みとビットコインの特性が結びつくことで、大きな相乗効果を生み、仮想通貨業界の発展へ寄与する可能性も感じさせる。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

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