韓国政府、「革新的金融エコシステム」報告書でDeFiの可能性に言及

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DeFiについて分析

韓国政府の科学技術情報通信部と、準政府系機関韓国インターネット振興院(KISA)が「ブロックチェーンベースの革新的な金融エコシステム研究」と題する報告書を発表。全体で245頁にも渡る長大なもので、分散型金融(DeFi)についても多くのページを割いて説明している。

この調査は、KISAの研究プロジェクトに基づいて、Block MediaとChain Partnersが共同で実施したもの。韓国政府の公式見解ではない点には注意が必要だ。

報告書は「DeFiはブロックチェーン技術スマートコントラクトに基づいて、中央機関や仲介業者のないP2P(ピアツーピア)の形で金融システムを構築することを目指している」と定義し、将来的には「資産運用、デリバティブ、保険など多くの金融セクターに拡大できる可能性が高い」とも述べている。

DeFi市場は、誰もが不必要な仲介なしにローン、取引、投資などの金融サービスを簡単に利用できるようにするため作成されたもので、「資金調達が困難な新興企業や、中期で投資を回収するのが難しい投資家にとっては非常に優れたシステム」だと指摘。

一方、DeFiは従来の金融機関の仕事の大部分を置き換える可能性もあるが、現在、人々が生活する上ではまだDeFiの需要はあまりないと続く。

現時点では、DeFiに多くの資金や関心が集まっているのには、主に投資目的の需要のためだという。またDeFiの規模が拡大するにつれ、規制当局がDeFiに対する監視を強化せざるを得なくなり、「DeFi市場の縮小につながる可能性がある」とも述べている。

この報告書は具体的なDeFiプロジェクトとしてAAVE、COMP、UNI、SUSHI、SNXなどにも言及。仮想通貨ファンドPantera Capitalや、ブロックチェーン投資企業Hashedなど関連会社の概要も記した。

政府の公式見解ではないものの、政府機関がDeFiを詳細に分析した報告書を出したことは注目される。

規制面が課題となるDeFi

DeFiではまだ規制当局の監督が及んでいないことが多く、特にKYC(顧客身元確認)をほとんど行わずにアクセスすることができるため、マネーロンダリングなどの点から各国政府や国際機関からも規制の必要性を唱える声が挙がり始めている。

また2020年11月に開催された暗号資産(仮想通貨)業界サミット「V20」でも、DeFiには新たな規制アプローチが必要であると議論された。

暗号資産サービスプロバイダー(VASP)向け法的遵守コンサルタント企業XReg Consultingのシニアパートナー、Siân Jones氏は「金融活動作業部会(FATF)は、DeFiソフトウェア開発者や、中央集権型の仮想通貨の世界に属していないユーザーを含む、すべての関係者との関わりを倍増する必要があると述べている。

昨年夏に始まったDeFiブームは、その後セクターから資金が流出するなどして「一過性のバブル」との指摘もあったが、仮想通貨データサイトのDune Analyticsによると1月のDEX(分散型取引所)取引量は420億ドル(約4.3兆円)を記録。

現在は引き続き出来高が伸びる傾向がみられている。特に最近では分散型レンディングプラットフォームAaveのネイティブトークンであるAAVEが過去最高価格(ATH)を更新した。

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