日立とみずほ、ブロックチェーンを使った実証実験開始へ
日立製作所とみずほフィナンシャルグループは共同で、ブロックチェーンを使った基盤により物流データを共有する実証実験を1月中に始める予定だ。
開発したプラットフォームで、荷主、物流業者や運送業者のそれぞれの発注や納品、支払いに関する情報を管理していく方針だ。
今月開始される実証実験では、主に関東の物流企業の営業所や運送企業が参加し、「発注、納品、支払いに関わるやりとり」において実証用システムを活用。業務作業の具体化や検証が行われる。また運送会社へのアンケートやインタビューも実施される。
発生予定の債権に対しみずほが融資
ブロックチェーンにより取引に関する一連の情報を記録し、物流会社が運送会社に発注した時点で将来発生する予定の債権をトークン化。物流会社の信用力に基づき、みずほ銀行が融資額を決め、トークンを換金可能にする。
新型コロナウイルスの影響もあり、物流業界では需要増加に対しトラック運転手の不足が深刻になっているため、業務委託先の運送会社の確保が困難になっている。また、下請け運送会社には運転資金が不足しているところも少なくない。
配送前に運転資金を融資してもらえる仕組みを導入することで、物流大手が運送会社を確保しやすくなる。さらにブロックチェーンで各種情報を管理することにより、管理業務の負担を軽減し、荷物ごとの在庫や配送状況なども把握しやすくなることが期待される。サービス開始は2021年末を予定している。
更なるサービス展開の予定
また日立社は物流業界以外でも自動車産業などで同様の基盤を展開する構想を明かしており、2026年度には同プラットフォーム上での取引額を数千億円規模にする狙いだ。
さらに日経新聞は以下の3点の展開を予定していると報道した。
- 受発注の自動化
- トレーサビリティの管理
- 各企業の取引信用度に基づく各種サービス
この基盤を使い受発注業務の自動化や、製品のトレーサビリティー(生産履歴の追跡)管理などのサービスを展開する予定だ。また基盤上での取引状況から企業の信用度をスコア化し、新たな取引先を推奨するマッチングサービスなどへの応用も構想している。
日立製作所は、ブロックチェーンを活用した自動車などのモビリティの課題解決に取り組む国際団体「モビリティ・オープン・ブロックチェーン・イニシアチブ(MOBI;モビ)」に加盟。また、2017年10月には、生体情報から電子署名を生成するという同社独自の「公開型生体認証基盤」技術を応用した「PBIーブロックチェーン連携技術」を発表しており、ブロックチェーン関連技術の開発に力を入れてきた。
昨年12月にはブロックチェーン分析企業のチェイナリシス社と、主に公共分野で協業する方針が発表されている。
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