「テザー準備金の一部、ビットコインで運用」担当銀行が明かす=報道

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テザー資産がビットコインに投資

テザー社が仮想通貨USDT融資に関する財務記録を提出する期限1月15日(米時間)が迫る中、テザー社が利用するバハマのDeltec銀行が、テザー社は預入れ資産を仮想通貨ビットコインに投資しているとする証言をしていることがわかった。

証言は、DeltecのHugo Rogers首席投資責任者がビデオ会議で話した。Coindeskなどのメディアが報じた。

テザー社公式の説明によると、USDTの裏付け資産については、「現金、現金同等物、およびその他の資産で裏付けされている(19年3月に規約を変更)」とされていたが、内訳が公開されていない。ビットコインに資金が投じられていたことを銀行が明らかにしたのは今回が初めてだ。

Rogers氏が、テザー社がビットコインに資金を投じたことを明かした期間は、2020年。1BTC=約9,300ドルのタイミングで資金を投じたという。この当時購入したビットコインについては、パフォーマンスが好調な状況にあるとした。

それより前の購入歴などについては、明らかにされなかったが、2019年5月の裁判資料でも、テザー社は一部の準備金をビットコインに投資したことを認めたことが記載されており、2020年以前にも資金運用していたことがわかっている。(購入金額や割合は不明):追記

テザー準備金問題を巡って、現在係争中のテザー社の不正融資疑惑を巡る裁判で、ニューヨーク司法当局(NYAG)は、8.5億ドルの不正融資疑惑に関連するテザー社のUSDT準備金に関する財務書類の開示を求めており、テザー社は1月15日の期限までに財務記録を提出する予定。財務記録の提出で資金運用の状況は明らかになる可能性は高く、それに先行して銀行が情報を開示した可能性がある。

財務記録の提出については、これまでテザーおよび親企業iFinexが協力を拒んできたが、昨年12月時点では、資料提出に協力する姿勢を見せていることをNYAGが言及している。

なぜ、現時点で協力する姿勢を見せたかは、定かではないが、USDTの裏付け資産が最も大きな理由にあるとの見方が強い。

USDTの裏付け資産の問題が浮上したのは、2019年。iFinexは、銀行による資産凍結で、8.8億ドルの顧客資産消失したと発表したが、NYAG側は、テザーの準備金を不正に流用した可能性があるとして、調査に乗り出した経緯がある。NYAGによると、テザー準備金(米ドル現金の分)は一時、USDTの流通数に対して数字が合わない財務上の問題がある期間が存在していた。

表上は理由とされていないが、これをカバーする目的として指摘されているのが、Bitfinexが2019年5月に実施した独自のプラットフォームトークンLEOの販売だ。当時、計10億ドルの資金を調達している。

具体的な資産管理などは、今後明らかになることが予想されるが、準備金を「現金、現金同等物、およびその他の資産」としたことから、価格が対法定通貨で変動する資産に投じていたことなども、財務上に問題が生じるケースに繋がるとして指摘されてきた。

運用比率こそ明らかではないが、調査に協力した流れも、ビットコイン等の値上がりによって、財務上の問題が解消されたことも一つの理由にあるとの指摘もある。

今回財務記録の提出にあたって、テザー社のPaolo Ardoino CTOは10日にSNSで、「我々はNYAGの要請に応じて、すで250万枚に及ぶ書類を作成している。15日以降も、テザー社の業務は通常通りだ」とコメントしている。書類の数が膨大であることから、NYAGによるレビューには、時間を要する可能性も想定されている。

テザー問題:ビットコイン投資で注意喚起するレポートも

暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)について、投資する際の注意を促す論文が新たに公開された。過去にもテザー問題とビットコインを紐づける論文の発表があったが、新たにAlex Pickard氏がリリースした。

タイトルは「ビットコイン:魔法のインターネット通貨」。著者のAlex Pickard氏はBTCは資産でも価値の保存手段でもなく、価格高騰はバブルでのようで、操作されている可能性もあるとして、ビットコイン投資家に注意喚起を行なっている。

Pickard氏は2013年業界参入した人物で、現在は米投資企業Research Affiliatesの幹部に就任し、リサーチなどを担当している。

Pickard氏は、「自分が何に投資をしているか理解すること」は投資における重要な要素だが、BTCに関しては新しい投資家も経験豊富な投資家も、十分に意識ができていないと指摘する。

Pickard氏がBTC価格が操作されているとする根拠は、以前から指摘されているステーブルコイン「テザー(USDT)」発行のタイミングだ。以下は論文に掲載されたグラフで、左軸を基準にするオレンジの線がBTC価格、右軸を基準にする水色の線がUSDTの総発行量を表している。

USDTは、需要に応じた発行と償還を行うが、それを踏まえた上で、価格の推移に大きな相関性を指摘している。

出典:論文

黄色で色付けられた箇所はUSDTが大量に発行された後にBTC価格が上昇した時期で、2018年11月前後の赤い箇所はUSDTの償還によって、BTC価格が下落した時期だ。過去にはBTC価格とテザー取引高の急騰時に50%という高い相関性があるという論文も発表されており、業界ではUSDTに対する懐疑的な見方が強まったきっかけにもなった。

発行元のテザー社らに対しては、USDTは米ドルに1:1でペッグしたステーブルコインで裏付け資産がなくてはならないが、価値の裏付けがないままUSDTを発行し、BTCの価格を意図的に釣り上げたという訴訟も起きている。

Pickard氏はこの問題を改めて引用し、BTC投資のリスクとして警鐘を鳴らしている。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

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