ブロックチェーンを活用したレポ取引
米大手銀行JPモルガン・チェースは10日、ブロックチェーンを活用し、1日で決済されるレポ取引に成功したと発表した。
レポ市場は資金調達するための方法を提供しているが、現在の運用では限界があり、日中流動性を確保するための有意義な資金調達が行えないという課題が指摘される。この課題を解決するためにブロックチェーンを活用し、リアルタイムの即時決済を実現することを目的にしている。
レポ取引とは広義には、債券などを一定の価格で売り戻し、または買い戻しする条件を付した売買取引のこと。資金の調達や運用に利用される。
今回利用したシステムは自社で開発したもの。レポ取引の担保や現金の決済にブロックチェーンを活用し、現金に関する処理にはJPモルガン・チェースの独自デジタル通貨「JPMコイン」を使う。
同社でマーケットの分散型台帳技術(DLT)のチームを率いる責任者は、現在レポ市場には技術的に非効率な面があると指摘。そこにブロックチェーンを活用して時間的なリスクを軽減し、プロセスを効率化して、決済のスピードを向上させたと説明している。
そして、「我々の新しいソリューションは日中取引の流動性を解放し、当社の顧客や当社自身のリスクを軽減できるだろう」と期待を込めた。今後はゴールドマンサックスらが取引を試しながらテストを重ね、開発を進めていくとした。
ゴールドマンサックスのデジタル資産の責任者は、「これはエンタープライズ向けのブロックチェーンが、金融システムの実際の課題を解決できるかを試すエキサイティングなプロジェクトだ。2021年の早い段階でローンチできることを楽しみにしている」と述べている。
Onyxで開発
JPモルガン・チェースは今年10月、「Onyx」という部署を立ち上げた。
ブロックチェーンを利用する次世代決済システムなどを含む新規事業を展開するために設立しており、約100名の人材を投入することが明らかになっている。JPMコインの利用が鍵になる事業だ。
今回のレポ取引のソリューションは、Onyxで開発されたプラットフォームに構築されている。
参考:JPモルガン・チェース
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用