オントロジーがInclusive Poolをローンチ
「信用の再定義」をミッションに掲げるオントロジーが、「Inclusive Pool(インクルーシブプール)」と呼ばれる、新しいDeFi(分散型金融)プロダクトをローンチした。Inclusive Poolでは、DeFi分野で初となる、信用を基盤にしたレンディングサービスが提供されている。
オントロジーは先日ローンチから3周年を迎え、最近では特にDeFi分野の開発に注力している。
Inclusive Poolとは
Inclusive Poolとは、トークンの貸借が行える流動性プールだ。流動性プールとは、スマートコントラクトに預けられたトークンで構成されている資産プールを指す。多くのDeFiプロダクトでは、ユーザーがこの流動性プールに資産を預けることで、集権的機関の干渉なしで、トークンの交換や貸借が行える仕組みになっている。
Inclusive Poolは、信用基盤のDeFiプラットフォームWing上で構築されているため、プロダクトに信用要素が統合されている。具体的には、オントロジーが開発を行っている信用スコアシステムOScoreが導入されている。OScoreで高いスコアを有しているユーザーは、必要担保額を最小限に抑え借入額を最大まで増やすことが可能だ。また、OScoreに応じて金利も変更され、高スコアユーザーは低金利で資産を借りることができる。OScore導入により、貸し手のリスクが軽減され、ユーザー間の透明性が向上するという利点がある。
Inclusive Poolには、供給プール(Supply Pool)、担保プール(Collateral Pool)、借入プール(Borrow Pool)および保険プール(Insurance Pool)の4つが用意されている。現在承認されている資産は、USDT、USDCおよびDAIの3つのステーブルコインのみだが、今後利用可能なトークンの種類がさらに追加されていくという。Inclusive Poolのルールおよびパラメータは、今後必要に応じて、コミュニティ投票で調整が可能だ。
Inclusive Poolローンチについて、オントロジーの創設者Li Jun氏は、以下のコメントを出している。
このマイルストーン達成は、持続可能で繁栄しているDeFiツールのエコシステム発展を成功させるという私たちの取り組みを表している。オントロジーでは、我々のテクノロジーを用いて現実世界の課題を解決することに専念している。我々のインフラを通じて、引き続き実用的なユースケースを探求していくことを楽しみにしている。今後も発展を続け、テクノロジーを向上させていくことで、ユーザーのニーズから遅れをとらないようにしていきたい。
また、オントロジーのアメリカエコシステム代表Erick Pinos氏は、自身のプロダクトOScoreについて以下のように述べた。
Oscoreは、ユーザー同士の透明性というDeFiレンディング市場の不足部分を補っている。これによりユーザーは、オントロジーブロックチェーンに記録された信頼できる情報に基づいてデューデリジェンス(価値やリスクの評価)を行ってから、他のユーザーとのトランザクションに関わることが可能になる。OScoreを用いることで、ユーザーは自身の資産情報対して完全な管理権を維持できる。OScoreで良い信用評価履歴があるユーザーは、自身の情報が安全であると知りながら、その評価を自身のアクティビティで活用できる。
Wingとは
Wingとは、信用基盤のDeFiプラットフォームであり、オントロジーブロックチェーン上に構築されている。Wingは、デジタル資産のレンディング市場に特化したDeFiプラットフォームとして設計され、異なるチェーン上にある様々なDeFiプロダクト間でのトランザクションをサポートしている。
Wingは、2020年9月にローンチされ、一時期はDeFiプロダクトの規模を表す指標の一つであるTVL(Total Value Locked/総ロック額)が、2億ドル(約209億円)に達した。
Wingでは、オントロジーの分散型信用評価システムOScore、分散型データフレームワークDDFX、および分散型IDメカニズムONT IDが活用されている。このような仕組みを利用することで、ユーザーは自身の個人情報に対する完全な管理権を維持しつつ、ユーザー間の透明性が向上するという。
Wingの分散型ガバナンスモデル、およびリスクコントロールメカニズムは、借り手、債権者および保証人の間で、相互に有益な関係性を築くことを目指して作られている。このような関係性構築により、DeFiへのアクセスが円滑化され、多くの人がその利益を享受できるようになることが期待されている。
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