デジタルユーロ、2021年中に方針決定

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デジタルユーロ、本格始動するかの決定は2021年

欧州中央銀行(ECB)の責任者が、シンガポールで開催されたフィンテックのイベントに参加。2021年半ばに、デジタルユーロのプロジェクトを立ち上げるかどうか検討することを明かした。

ECBの市場変革・統合部門の責任者であるHolger Neuhaus氏は次のように述べる。

2021年半ばに、欧州はデジタルユーロ計画をローンチするかどうかを検討する予定だ。ただ、ローンチするとしてもまだ調査段階であり、実際に(デジタルユーロの)発行を決定するわけではない。

デジタルユーロ計画が正式に立ち上げられると、まず、デジタルユーロとはどのようなものか、どのようなシステムか、どのように実装できるかなどをさらに考慮することが可能になるとしている。

Neuhaus氏は、中銀発行デジタル通貨(CBDC)であるデジタルユーロのリスク面についても触れ、特に国際的にCBDCが使われる場合、資本フローを管理することが難しくなると指摘。何か制度を設けて、資金の流れを管理することについても考える必要があるとした。

欧州は、ユーロ圏のCBDCとなるデジタルユーロの調査などを加速させているが、すぐに発行する計画があるわけではないようだ。

民間ステーブルコインやデジタル人民元に対抗

ECBは10月に、「デジタル・ユーロ」というサービスの商標登録を欧州連合知的財産庁に申請。どのような機能を重視するのか等について、一般から広くパブリックコメントも募集している。

ECB執行委員によると、デジタルユーロが必要となるシナリオには次のようなものがあり、競合しうる「外国のデジタル決済手段」については、Facebook主導のリブラ(現Diem)が代表的な脅威とみなされているという。

  • 人々が現金を使用することに消極的になったケース
  • 自然災害のために他の電子決済手段が利用できなくなったケース
  • 外国のデジタル決済手段が流入し、EU圏の貨幣の脅威となるケース

9月に、欧州委員会が暗号資産(仮想通貨)に対する規制案を発表した際にも、「一般的な仮想通貨市場は規模が大きくないため、現時点では金融の安定には影響はない。しかしグローバルに利用されるステーブルコインは状況が異なる」として、リブラを警戒していた。

尚、Facebook主導のリブラは各国当局からの批判を受け、より規制対応した「ディエム」へとリブランディングしている。

なお、世界各国の通貨発行事情と展望については、欧州圏の民間シンクタンクからは、中国のCBDC「デジタル人民元」を注視するレポートが発行。オランダを拠点とする非営利シンクタンク「dGen」は、将来の各国CBDCの勢力図を予測し「2025年までに欧州がCBDCを持たなければ、ユーロはデジタル人民元に追い抜かれる」と論じている。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

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