大規模な清算が発生
DeFi(分散型金融)のレンディングプラットフォームCompoundで、1億ドル(約100億円)規模の強制清算が行われたことが分かった。
暗号資産(仮想通貨)価格の参照元である米仮想通貨取引所コインベースで、ステーブルコインDAIの価格が上昇したことによって、DAIを借りているユーザーが担保不足に陥り、清算が行われた。Compoundに問題があったわけではなく、価格を参照するオラクルの仕組みに原因があるとみられている。
CompoundではDAIなどの仮想通貨を借りる時に、借入額以上の担保(過剰担保)を提供する必要がある。米ドルにペッグしたステーブルコインDAIの価格は、コインベースで一時30%高の1.3ドルまで上昇。これによって担保不足に陥る事例が数多く発生したという。
Compoundにおける大規模な清算は、イールドファーミングを行うユーザーにも影響が及んでおり、4,600万ドル(約48億円)を失ったユーザーもいると報告されている。イールドファーミングとは、需給バランスによって常に変化する利率に応じて流動性の提供先を変え、最も大きなリターンを得る取り組みのことを指す。
The 3rd largest COMP farmer took a big hit with the liquidations. Around $46m.
Tx: https://t.co/waOEZlh3U1 pic.twitter.com/QrlkPjJHyc
— Alex Svanevik 🧭 (@ASvanevik) November 26, 2020
また今回別のDeFiプラットフォームであるdYdXでも、780万ドル(約8億円)超の清算が発生した。
問題の根本的な原因は
オラクルの開発を行うChainlinkのSergey Nazarov共同創設者は、仮想通貨メディアDecryptに対し、今回の問題の原因は価格を参照するオラクルが分散型ではないことが原因だと説明。
1つの取引所、または限定された数の取引所の価格データを参照するだけでは、ユーザーの資産は大きなリスクにさらされた状態になると指摘した。
Nazarov氏は今回の清算によって、ユーザーが技術的なリスクを認識し、分散型のオラクルを使用するDeFiを使うようになることを望むと述べている。
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