AMAに参加
イーサリアム財団の開発チームが18日に開催したAMA(Ask Me Anything:なんでも聞いて)で、イーサリアム(ETH)のVitalik Buterin共同創設者が次期大型アップグレード「ETH2.0」について、様々な質問に回答した。
Vitalik氏は過去数カ月の間に、ネットワークの移行プロセスの簡素化などロードマップに関連する変更をいくつも行っており、ETH2.0をユーザーが利用できるまでの期間を短くするよう努めていると説明。特に各フェーズの開発を並行して進める方法を選択することによって、ETH2.0への移行を予想より早められる可能性があると述べている。
この変更の中で重要なものの1つとして挙げているのが、スケーラビリティソリューション「Rollups(ロールアップ)」を中心にしたロードマップ作りだ。「シャードチェーンが全稼働するフェーズ2がしばらくの間そんなに重要視されていないのは、この段階での最終的な目的は処理能力の向上で、これはフェーズ1のシャーディングとロールアップを組み合わせることで達成できるからだ」と述べている。
ETH2.0への移行は、もともとスケーラビリティ向上を1つの目的にしているが、レイヤー2ソリューションを活用しないと、その実現は数年先になってしまう。しかしロールアップを活用することによって、フェーズ2よりも早くに高いスケーラビリティを実現できると述べ、今はロールアップの活用に注力した方が良いと考えていると説明している。
スケーラビリティが問題視される背景には、DeFiブームとETH高騰に伴うトランザクション詰まりやネットワーク手数料(Gas代)の高騰などが挙げられる。
このETH2.0のスケーラビリティについては、1秒間のトラザンクションの処理スピード(TPS:Transactions Per Second)に関して「1000TPS以上のスピードはあるのか?」との質問が出た。
この質問には「ある」と回答した上で、実際にはETH2.0のローンチを待たなくても、ETH1.0のネットワークでもロールアップを活用すれば、最大4000TPSまで可能だと説明。またベースとなるチェーンで行うよりもロールアップを利用した取引の方が、「最大で100倍安く送金できる」と回答している。
オプティミスティック・ロールアップとは、一部処理をオフチェーン処理することによって高速化を図り、イーサリアムのスマートコントラクトの秒間トランザクション処理数が大幅にスケールアップすることを可能にする技術とされる。同技術はプラズマと同様、サイドチェーン上でトランザクション処理を行うソリューションとなっている。
その他の質問
またステーキングしたETHを引き出せるようになるには、どのくらいの作業が必要かとの質問も上がった。現在すでにETH2.0に向けてステーキングのデポジット(入金)を開始しているが、入金したETHは先のフェーズまで出金できない仕組みになっている。
この質問には作業量ではなく、引き出し可能になる時期は、各段階の研究開発にどのくらい時間がかかるかによって変わると回答した。
AMAの質問は、Vitalik氏がどのくらいビットコイン(BTC)を持っているかという内容にも及んだ。「少なくはないが、ETH所有分よりはるかに少ない」とだけ答えている。
参考:AMA
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