ビットコイン支持派が参入
米大統領選で当選を確実にしたジョー・バイデン前副大統領が、政権移行チームの金融政策責任者として米CFTC(商品先物取引委員会)の元会長Gary Gensler氏を起用することがわかった。同氏はビットコイン・ブロックチェーンの推進派としても知られる人物だ。
Gensler氏の起用については、バイデン前副大統領が当選を確実にした際に報じられていたが、正式にチームメンバーとして公表された。
Gensler氏の経歴
Gensler氏はリーマンショック後の2009年〜2014年でCFTCの会長を務めた人物。オバマ政権下では、デリバティブ規制を改正し、市場健全化に寄与した。また、クリントン政権では、財務省で国内財務次官を務めるなど、金融政策に関わる経験が豊富な人物だ。
CFTCを退任後の2018年には、米名門大MITで金融分野におけるビットコインとブロックチェーンに関する授業を教えていた。同年の米連邦議会の公聴会では、議員らが主張する仮想通貨とポンジ・スキームの類似性を否定し、メリットを唱えているなど、ビットコイン・ブロックチェーン推進派としても知られる。
2019年の年末に、米暗号資産(仮想通貨)メディアCoinDesk に、仮想通貨とブロックチェーンの現状や将来性を考察する記事を寄稿し、「ビットコインが変革の導火線」と喩えている。
ブロックチェーン有識者も加入
Gensler氏以外にも、バイデン政権移行チームの金融政策部で、ブロックチェーンや仮想通貨に造詣が深い有識者も加入していることが確認されている。
MIT大の経済学者で、以前CoinDeskの顧問委員会のメンバーを務めたSimon Johnson氏や、名門ジョージタウン大の法学教授を務め、昨年フェイスブックのリブラプロジェクトについて議会の公聴会で意見を述べたChris Brummer氏。
公立名門カリフォルニア大学UCIの法学教授で、仮想通貨とブロックチェーン規制の枠組みについて公聴会に出席した経験を持ち、銀行システムの不公平性およびリブラが目指す金融包摂の可能性を指摘したMehrsa Baradaran氏。名門コロンビア大学の法学教授で、デジタルドルの概念を考案した人物の1人であるLev Menand氏も起用された。
これらの政権移行チームメンバーは一概にパブリックチェーンを基盤技術とした仮想通貨の擁護派とは限らないが、仮想通貨セクターに関する知識も十分に持った人物ではあることに違いはない。現時点では、バイデン政権がどのように仮想通貨・ブロックチェーンを規制し、推進するかは明確ではないものの、トランプ政権と異なり、有識者が提案・進言できる環境は整いつつある。
大統領選結果
2020年の米大統領選では、必要となる選挙人数を確保したことで、バイデン候補が8日に勝利宣言を行なった。バイデン陣営は新政権発足に向け、適任者を選定中だ。一方、現職のトランプ大統領はバイデン氏の当選を認めず、開票を巡る訴訟を複数の州で起こすなど徹底抗戦の構えを見せている。
トランプ大統領の姿勢を受け、バイデン政権移行チームは10日、バイデン氏を大統領選挙の勝者と認定するよう政府の一般調達局(GSA)に求めた。認定されれば、チームはスムーズな政権移行に必要な連邦政府の資金を含むリソースにアクセスできるようになる。一方、GSAは現在バイデ氏の勝利を認めていないが、政権移行チームは法的措置も含め、GSAに勝者認定を迫る複数の選択肢を検討しているとした。
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