大統領選、雌雄を決す
長期化していた米大統領選にて、当選に必要な選挙人270人以上を獲得した民主党のジョー・バイデン氏の勝利宣言を受け、日経平均株価は前週末比400円超上昇。6日午前時点で、1991年11月以来、29年ぶりの高値水準に達している。
バイデン氏は21年1月20日、第46代大統領に就任予定だ。
市場は、4年前の米大統領選挙や英ブレグジット(EU離脱)選挙の時のような乱高下を警戒してリスク回避姿勢を強めており、直近では株やゴールドを含むリスク資産全般の売りが先行。米ドル回帰の様相を呈していた。
今回の株高の背景には、大統領選の決着により先行き不透明感の懸念後退と追加の財政支援策への期待から、投資家が積極的に運用リスクを取るリスク選好姿勢が再び強まったことが挙げられる。2020年の株式市場は、新型コロナ対策の世界的な大規模金融緩和で「金余り相場」と揶揄される状況にある。
今後の焦点は、トランプ陣営の法廷闘争など政情不安が長期化するかどうかに移りつつある。
ビットコイン市場
先週末の仮想通貨市場ではビットコインが急反発。急騰の反動による大幅下落分を帳消しにした。9日の暗号資産(仮想通貨)市場のビットコイン(BTC)価格は、前日比+3.12%の160.3万円(15,500ドル)に。
各種オシレーター上で相場の過熱感が払拭できていないことから、横軸調整が不十分との見方が根強い。一方、先物金利推移などから、以前までと異なるデリバティブ主導ではない「現物」主体による相場のけん引力は、目を見張るものがある。
追従するイーサリアム
ビットコイン高騰に伴う循環物色も旺盛だ。BTC建て(ETH/BTC)でアンダーパフォームの著しかったイーサリアム価格は、前週比13.2%上昇した。
DeFiPulseのデータによれば、DeFiプロトコルに預け入れられた合計額(TVL)は、20年9月の95億8000万ドルから121.5億(1.3兆円)ドル規模の過去最高値近くまで上昇しており、需要の高さと断続的な資金流入を裏付けている。
この点について、DTCキャピタルの責任者SpencerNoon氏は、「ビットコイン高騰を背景に、ファンドはDeFi優良銘柄を再び買っている。」との見方を示した。ピーク時から大幅下落していたDeFi銘柄のYearn.finance(YFI)は、6日から7日にかけて117%の上昇を見せた。
イーサリアムのデイリーアクティブアドレス数も、10月16日以来の水準にまで急上昇。強気ダイバージェンスとオンチェーンデータは、確かなファンダメンタルズとユーザーアクティビティに支えられていることを示している。
ETH/BTCの相関性が3ヶ月前水準の90%台から「75%」まで低下していることも、イーサリアム単体の材料が評価されやすい環境として追い風とみられる
テクニカル面では、海外アナリストCactus(@Thecryptocactus)が、800〜900ドルまで上値抵抗帯がほぼないことを指摘しており、直近高値の470ドルを上抜けば、19年最高値の14,000ドルをブレイクした時のビットコイン同様、騰勢を強める可能性がある。
次世代チェーン「ETH2.0」の大型アップデートなどへの思惑が集まる仮想通貨イーサリアムは4日、ステーキングを行うためのデポジットコントラクトの実装にこぎ着けており、実際にデポジットを行うことが可能となった。
合意形成アルゴリズム「PoW→PoS」の移行後に期待されるステーキングは、いわゆる株式や債券の配当益のような利回り報酬を得ることができることから、フェーズ0にあたるBeacon Chainにおけるデポジットコントラクトの実装は追い風だ。長期保有を前提としたインカムゲイン狙いの現物流入増加に伴い、イーサリアムの売り圧力低下や現物買い需要の増加が見込める。
メインネット稼働、及びPoS移行を伴う「フェーズ1.5」は、2021年中を予定している。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用