ビットコイン、過去最高値も視野
仮想通貨市場では、ビットコインが7日にかけて急騰した。米ドル建の心理的節目に当たる15,000ドル到達後も続伸し、日本円建160万円台に乗った。
7日の仮想通貨市場は、アルトコインも含め取引が活況な状況にあるが、ビットコインの高い騰落率から、BTCへの資金集中が見て取れる展開となっている。
年初から上昇トレンドを維持してきたビットコイン市場を直近の月間推移で見ると、価格は4300ドル(約45万円)高。時価総額は880億ドル(9.1兆円)増加した計算だ。市場ドミナンス(BTCシェア)は9月以降、ビットコイン優勢の推移となっており、DeFiバブルが一服したタイミングと米上場企業などの大量保有を機に、BTC市場への資金流入が加速している。
ビットコインの上昇については、①日米株式市場の高値更新、②米大統領選の不透明感、③新型コロナウイルスに伴う大規模金融緩和、④インフレヘッジ目的(企業含む)、⑤高値更新によるFOMO(乗り遅れることによる危機感)など様々だ。
米株式市場では、米民主党が大統領選と上下院選の両方で勝利する「ブルーウエーブ(青い波)」の可能性が低下したことで、IT大手の規制強化も含まれた民主党の政策リスクの後退し、ハイテク株などを中心に続伸。日経平均株価の終値は2万4100円余りと今年の最高値を更新し、2年1か月ぶりの高値となった。
また、高値更新が続くビットコインについて経済系メディアも多数報道。ツイッターで再びトレンド入りするなど、一般投資家を中心としたFOMO(取り残される不安)を形成しつつある。
国内Twitterトレンドでも、おすすめ欄トップに「ビットコイン」がランクイン。1万を超える関連ツイートが投稿された。
このニュースをどう読む?
また、仮想通貨業界で報じられた「米政府によるビットコインの押収」と「FTXのCEOがバイデン陣営に巨額寄付」が、ビットコインの上昇相場を押し上げる要因になっているとの指摘も相次いだ。
米政府によるビットコインの押収
米政府が、ダークウェブ「シルクロード」に関係するアドレスが所有する10億ドル相当(約1000億円)のビットコイン(BTC)を押収した。
今回のニュースの注目点は、押収されたビットコインが11月3日に確認された6万9369BTCの大口送金に関連している点だ。
当時、BTC保有量のランキングで世界4位だったアドレスから2015年4月以来5年ぶりの大口送金が確認されたが、1000億円相当と規模が大きいだけに、市場は売り圧力を警戒していた。
今回の送金が米国政府に関連したものであることが判明したことによる見方の変化には、以下のようなポイントが挙げられる。
- 不正取得した仮想通貨を押収できる重要事例に
- 大口保有者が無作為に売却するなどの不透明性の後退
また、押収したビットコインなどが米国政府の国庫に一時的に帰属する可能性などを指摘する声も見られている。
押収した仮想通貨の管理方法については、米連邦保安官局(USMS)が押収した仮想通貨をオークションにかけて売却を行うまでの期間内で発生する様々なケース(ハードフォークやエアドロップなど)に対応できる請負業者の募集を6月に行なった。
過去の事例を踏まえると、押収したビットコインなどの仮想通貨はオークションなどを通じて売却されるが、市場を介さず直接取引される取引方法から直接的なマーケットへの影響は見られていない。
オークションが最も行われていたのが14年〜15年で、20年2月までの統計では、全オークションで計1.76億ドル分のBTCが売却されている。
FTXのCEOがバイデン陣営に巨額寄付
仮想通貨デリバティブ取引所FTXのCEOを務めるSam Bankman-Fried氏が今年、大統領候補であるバイデン陣営に520万ドル(約5.3億円)を寄付したことがわかった。政治献金を公表するサイトOpensecrets.orgのデータによると、Bankman-Fried氏は米国のFTX支社FTX.USを通してバイデン陣営に計5,220,000ドルを寄付している。
記録によると、同氏は民主党の特別政治活動委員会(スーパーPAC)の1つの「Future Forward」の会員で、資金力はトップクラス。同スーパーPACの所属会員には、フェイスブック社の共同創設者Dustin Moskovitz氏やグーグル社の前CEOのEric Schmidt氏など複数のIT大手の著名人も含まれている。
Bankman-Fried氏の寄付金額は、同じくバイデン氏の寄贈者であるMichael Bloomberg氏(ブルームバーグ社の創業者)の合計寄付金額560万ドルに次ぐもので、バイデン陣営の寄贈者ランキングにおける2位の存在となる。
寄付金については、FTXが自社で大統領選に関する取引商品を出していることから、一部で批判も相次いでいるが、Bankman-Fried氏が民主党候補に大金を寄付したニュースを受け、ニュースを好感する声が徐々に高まっている。
仮想通貨有識者のQiao Wang氏は、「この事実は長期的に強気なものであり、仮想通貨セクターにとって最も重要な安全(セキュリティ)は政治的安全である」とコメント。仮にバイデン氏が当選すれば、仮想通貨に関するアジェンダ推進は、以前よりも改善される可能性が高いことを意味するとした。
By far the most important form of security for crypto is political security.
— Qiao Wang (@QwQiao) November 5, 2020
また、Bankman-Fried氏の寄付についてコメントしているわけではないが、仮想通貨業界弁護士のJake Chervinsky氏は、一般的に民主党と共和党大統領のどちらが仮想通貨セクターに有利なのかの話題について、「共和党が民主党より有利というのは、一般的な誤解だ。実際ワシントンD.C.で働く仮想通貨政策に携わる人ならわかるだろう。仮想通貨については超党派の問題になる」と説明した。
There’s a common misbelief that Republicans are “better” for crypto than Democrats.
Ask anyone who works on crypto policy in DC & they’ll tell you that’s not true.
Different aspects appeal to each party, but overall it’s a nonpartisan issue, & we’d do well to keep it that way!
— Jake Chervinsky (@jchervinsky) November 5, 2020
大統領選は今も開票が進んでおり、結果が未だ判明しない。CNNによると、トランプ大統領が獲得している選挙人は213人、バイデン前副大統領が253人と昨日の進捗とほぼ変わらない。当選するには、最低限270人を確保する必要がある。一方、激戦州のジョージア州やミシガン州では「郵送投票」の開票を巡り、昨日トランプ陣営が訴訟を起こしたが、ジョージア州およびミシガン州でも判事によって却下されたことが報じられた。未だ先が見えぬ状況にある。
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