世界経済フォーラムデジタルアセット責任者が見る、CBDCの課題点|Swell2020

Blockchain
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2日目の基調講演

米リップル社がバーチャルで開催する年次カンファレンス「Swell2020」の2日目。

最終日の基調講演で、リップル社の投資部門RippleX(元Xpring)のジェネラル・マネージャーMonica Long氏は、「世界経済フォーラム(WEF)」のブロックチェーン・デジタルアセット・データポリシー責任者を務めるSheila Warren氏にインタビューを実施。

金融包摂や、デジタルアセットとブロックチェーンの新たなユースケースに関して見解を述べた。

Warren氏は2017年から世界経済フォーラムでブロックチェーンやAI、IoTなど新しい技術について研究や調査を続けており、ブロックチェーン技術の将来性に着目し、WEF内でブロックチェーンチームを設立している。

2018年以降は、各国の中央銀行の技術者を招集してCBDCに関するグループが形成された。その過程で、中央銀行の政策に携わる人々の中で仮想通貨やブロックチェーン技術に関する教育へのニーズが浮き彫りとなっていった。

このようなニーズに対応するため、今年1月には中央銀行がなぜCBDCについて少なくとも検討をするべきかを説く「Central Bank Digital Currency Policy Maker Toolkit」がダボス会議で発表されている。

ダボス会議では、デジタル通貨のガバナンスおよび枠組みの設計を目指す「デジタル通貨ガバナンスコンソーシアム」の設立が発表されており、各国の中央銀行関係者、スタートアップ企業や学者、技術者、規制当局など幅広いグローバルなメンバーで構成されている。

また法的な側面と技術的な側面での課題を念頭に置きながら、ステーブルコインやCBDCなどのユースケースに着目する同組織は、「金融包摂」を大きな目標の一つと掲げており、国内外における送金システムなどの新たな技術がより良い世界につながると考えている。

CBDCに関する世界経済フォーラムのスタンス

CBDCについてWarren氏は、WEFのスタンスは(トレンドなどの)熱狂に捉われず、公平性を保ちつつ多面的に様々な可能性を検討する必要がある、という姿勢を示した。

まずCBDCが有益であるか、経済がドル化(自国の通貨を捨て米ドルを採用している)しているか、経済の中でお金がどのように扱われているかなどの文化的な考慮も必要と述べつつ、技術的には必ずしもブロックチェーン技術を使う必要性がないとも発言。様々な状況を考慮しつつ、継続して分析を続ける必要性を指摘した。

またそもそも既存のシステムから新たな枠組みに移行するROIが高くない点も、いまだに実現してない要因の一つとして挙げ、法律的なガバナンスの上でもCFT、AMLやKYC、データ保護など多数の規制がネックとなっている状況に触れた。その反面、Warren氏はインターネットの黎明期と同様、ブロックチェーン技術に対して長期的なアプローチを持つことが重要であると説明する。

米国のSECなどの規制当局がこの業界に関する深いニュアンスのある知識を身につけていく過程で、いずれより明確なガイダンスが示されればより前進できるとの見解を示した。

金融包摂に対するスタンス

また、Swell2020の大きなテーマの一つである金融包摂についてWarren氏は、デジタル・アイデンティティーの課題がいまだに解決されていないことが金融包摂における進展の少なさの要因であると説明。

上述したAMLやKYC、CFTや顧客保護、データプライバシー、不正防止などに準ずるために既存の銀行で口座を開設するためにはパスポートなど特定な身分証明書が必要となる。しかしそのような身分証明を有さない人々をリーチするためにはデジタル・アイデンティティーが必要だとWarren氏は考えており、そのカギの一つとして投票における実験などの成果がフィンテックにおけるデジタル・アイデンティティーの課題解決につながることを望んでいる。

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