金融安定理事会、グローバルステーブルコイン(GSC)に対する規制勧告

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ステーブルコインのリスクと規制上の推奨事項

国際金融監督組織である金融安定理事会(FSB)は13日、「グローバル・ステーブルコイン(GSC)」のリスクや規制上の推奨事項をまとめた報告書を発表した。

FSBによると、GSCとは、法定通貨を裏付けとするステーブルコインの中でも、複数の国・地域にまたがって利用される可能性のある広く普及したコインを指しており、従来の規制や監督のアプローチの有効性を低下させる可能性があると懸念した。フェイスブックが主導するリブラの事例などを念頭に置いたものと思われる。

FSBは、国境を越えて、 銀行、決済、証券・投資の規制体制にリスクをもたらす可能性もあり、国際的にも適切な規制、監督基準を設けることが重要であると主張。G20も昨年、GSCが提起する規制上の問題を検証し、国際的な対応方針について助言することを求めており、今回の報告書はその要望に応えるものでもある。

グローバル・ステーブルコインのリスク

FSBがグローバル・ステーブルコイン(GSC)について挙げるリスクの中には、次のようなものがあった。

まず、GSCが一般的に「価値の貯蔵手段」として広範に利用される場合、その価値の変動でユーザーの財産に大きな影響をもたらし、経済活動(送金や決済など)に影響を与えるおそれがある。

特に、新興国・発展途上国では先進国に比べてGSCが主流の価値保存手段になる可能性が大きいため、リスクも高いという。

裏付けとなる準備資産を有し、ユーザーがGSCを償還できる資産連動型GSCを前提した場合には、特にGSCが実際の市場価格、あるいはそれに近い価格で流動化できるかが重要となる。

もしそうでなく大規模にGSCの償還が行われた場合、二次保証がない場合には、準備資産の投げ売りを引き起こす可能性があると懸念した。

またGSCのインフラストラクチャにおける「潜在的な脆弱性」に関するリスクも指摘した。例えば、カストディアンの運用事故や、設計上の欠陥、サイバー事故、バリデータ・ノードの障害などによる情報漏洩が挙げられた。

その他、秘密鍵の保存や、コイン取引のためにユーザーが用いる電子ウォレットなどのアプリや取引所を巡って事故が起こるリスクもあるという。

金融安定理事会の推奨事項

グローバル・ステーブルコインのリスクに対応するために、FSBは強く推奨される項目を掲げた。その中から幾つか紹介する。

まず国際的な協議の必要性がある。

当局は、国内及び国際的に相互に協力・調整を行い、効果的な意思疎通を促進、それぞれの義務を遂行する上で相互に助け合い、GSC配備のための国境やセクターを越えた包括的な規制や監督を確保しなければならない。

また、リスク管理についての項目も挙げられた。

当局はGSCが、特に準備金管理、運用上のレジリエンス(復元能力)、サイバーセキュリティ、AML/CFT (資金洗浄・テロ資金調達防止)、その他適切な要件に関する、効果的なリスク管理の枠組みを確保するべきである。

さらに、リスクとして検討されていたような償還権の性質や実行可能性、償還の手続きについての法的明確性や、GSCが導入される地域のすべての規制要件を満たしていることなども推奨事項として掲げられている。

欧州連合(EU)も厳格な規制を要請

ステーブルコインについては先月、欧州連合(EU)が「厳しい規制を適用すべき」とする共同声明を発表したところだ。

明確な規制が行われるまでは、ステーブルコインはEUで運用すべきではないとして、ステーブルコインの裏付けとなる資産を、EUが承認した金融機関に預ける必要があるなどの要請を明らかにした。

「金融市場の安定を保ち、消費者を保護し、EUの金融主権を守るため」に規制を実施することが必要だとしている。

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