今週の相場の動きは
10月に入り、米司法省(DOJ)と米商品先物取引委員会(CFTC)が、暗号資産(仮想通貨)デリバティブ取引所BitMEXと同社のアーサー・ヘイズCEOらを告発。米トランプ大統領のコロナ罹患も市場に動揺を与えたことで、株だけでなくビットコイン市場も乱高下した。
各指標の騰落率一覧
10/2(金)終値時点の週間騰落率は、以下のようになった。
月初来騰落率
年初来騰落率
(今週の騰落率は、先週の終値、今週の終値を用いて計算。月初来、年初来についても前の月、年の終値で計算)
(仮想通貨の価格は取引所コインベースを参照)
9/26〜10/2のBTCチャート
bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
今週(2日14時時点)のBTC対円相場は、2日未明までは1,127,136万円から1,155,000万円の狭いレンジ内で前週終値(1,139,379万円)を挟み込む値動きに終始していたが、BitMEXの運営会社と役員が米商品先物取引委員会(CFTC)から告訴され、CTOのサミュエル・リード氏が連邦捜査局(FBI)に逮捕されたとの報が切っ掛けで相場はレンジを下抜けた。
加えて、トランプ米大統領はこの日、自身と妻のメラニア氏がコロナ陽性であることをツイッターで発表。大統領選の先行き不透明感が増したせいか、米指数先物急落、円買い、金(ゴールド)買いで市場は反応。ドルはユーロやポンドに対して一時的に高くなったが、円高が急速に進むと反落。ドルインデックスも上げ幅を削られた。
コロナショック以降、金融緩和による金余り相場を原動力に、金相場との相関とドルとの逆相関関係を強めていたBTCだが、高リスクアセットのBTCは初動で売られ、金相場の反発についていけていない。
しかし、今回のトランプコロナ下げが中長期的な相場の重石となるとは限らない。今年に入ってから機関投資家の参入増や、海外ではドルの価値の希釈化をヘッジするためのリテールボリュームが増加しているとも報告されており、上述の既存金融市場との連動性はこうした暗号資産(仮想通貨)市場の成熟が背景にあると考えられる。
足元では、大統領選が迫る中で想定外のリスクが台頭し相場も荒れているが、ヘッジを目的とした安値拾いは期待され、下値余地は限定的と見ている。
来週はパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言(7日)や米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨公開(8日)があるが、市場の注目は恐らくトランプ大統領の症状に集まるだろう。症状があるとすればドルには下押し圧力となるか。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用