仮想通貨市場とBTC(ビットコイン)
米司法省(DOJ)と米商品先物取引委員会(CFTC)が、仮想通貨デリバティブ取引所BitMEXとアーサー・ヘイズCEOらを告発、Samuel Reed共同創業者(CTO)を拘束したことが分かった。
このニュースが確認されるやいなや、BTC価格は一時10450ドルまで400ドル幅急落。2日昼時点では10600ドル前後を推移している。
BitMEXはユーザー不安の高まりを受け、「BitMEXのプラットフォームは正常に動作しており、すべての資金は安全である」と声明を出した。2019年にかけてシェア急拡大したBitMEXは、香港を拠点にするデリバティブ取引所。同年末の年間出来高は、およそ200億ドル(2.2兆億円)規模に達していた。
BitMEXは、日本円や米ドルなど法定通貨ペアを取り扱わず、BTC建の取引のみに限定することで、KYCのない取引所としてシェアを急拡大してきた。最大100倍の証拠金取引(レバレッジ取引)をはじめ、独自のゼロカットシステムや無期限スワップなどで日本人トレーダーからも多くの支持を集めていたが、米国居住者へのサービス提供とみなされ、マネロン対策やKYCなどの仕組みが裏目に出た可能性がある。
ゼロカットシステムでは、トレーダーがポジション清算時に必要となる金額について、清算価格と決済価格のスリッページで独自に積み上げた「保険基金」から補填可能な仕組みをとっており、強制ロスカットされた場合に追加証拠金(追証)を請求されることはない。保険基金を利用することで、自己資金以上の損失を防ぐ仕組みとなっていた。
今回BitMEXには、KYCおよびAMLガイドラインに違反したとして、未登録のプラットフォームを運営した容疑がかけられている。
この件を受け、すでに一部のトレーダーは代替取引所に資金を移し始めている。BitMEXの影響は相対的に低下しているものの、BitMEXで取引する米国の顧客の一部が法律や規制に反していると判断されアカウント閉鎖を余儀なくされた場合、ビットコインの売り圧力につながる可能性も懸念される。
BitMEXは20億ドル相当の約190,000BTCを保有するほか、保険基金には36,000BTCが蓄えられている。
BTC先物の取引高では、現時点でもバイナンス、Huobi、OKEXに次ぐ4位につけており、一定の影響力を及ぼしていることが覗える。
著名アナリストWilly Woo(@woonomic)もBitMEXの件について言及。
「大幅下落したが、皮肉なことにこれまで幾度となく発生したBitMEXの巨額ロスカットによる暴落に比べれば影響は小さい。今回の下落では、サポートラインさえ崩れていない。」と述べ、BitMEXの影響力が相対的に低下することにより、相場急変時の過剰なボラティリティが抑制される可能性があることを示唆している。
Oh, the irony… The BitMEX news caused a pullback that’s WAY LESS than a proper liquidation event on BitMEX. It didn’t even break support.
The BitMEX news is good for Bitcoin’s adoption also bullish for medium term and long term price. pic.twitter.com/5rfvWQ6XnY
— Willy Woo (@woonomic) October 2, 2020
海外のアナリストCryptoHamsterの見解によれば、BTC/USDの週足で「BTC価格>50MA>100MA>200MA」で推移していることから 強気相場の特徴の1つとして捉えることができる。現在の値動きは、2016年5月の強気相場の初動と似通っている。
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