仮想通貨のリスクや将来性 英シンクタンクらが意識調査

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仮想通貨のリスクと法的順守に関する意識調査

暗号資産(仮想通貨)のリスクとコンプライアンスに焦点を当てた意識調査が実施された。政府、仮想通貨業界、金融機関という回答者の所属業界別に統計を取り、仮想通貨に関わる組織間の意識の違いを浮き彫りにしている。

調査を行ったのは、金融犯罪の撲滅に向けて専門家の知識向上を図る会員組織ACAMSと、英国のセキュリティ分野シンクタンクRUSI。

アンケートは、両組織のメーリングリスト会員と、政府や仮想通貨業界関係者に配布。2020年6月3日から2020年7月22日の間に、566人から回答を得た。

回答者の居住地域は、北米(32%)、南米(8%)、欧州(23%)、アジア(22%)、アフリカ(7%)、中東(5%)、オセアニア(3%)だ。

仮想通貨業界はリスク対処に楽観的

調査報告によると、仮想通貨のリスクについては業界ごとの違いが目立った。すべての回答者が、仮想通貨は犯罪のリスクがあると認めている。

しかし、仮想通貨業界はリスクに対しては内部統制によって対応することが可能で、そのための、知識やスキル、ツールを持っていると答える傾向が突出して高かった。

例えば仮想通貨サービスプロバイダーは、AML/CTF(資金洗浄・テロ資金調達防止)の法的順守をしっかり把握している、と回答したのは上図のように、仮想通貨業界が72%、金融機関15%、政府機関13%、その他民間セクター16%だった。

また、仮想通貨取引は制裁遵守や取引監視と両立すると考える割合についても、金融機関が18%、政府機関が24%、その他民間セクターが29%だったことに対し、仮想通貨業界は85%と圧倒的な差が見られた。

こうした傾向について調査報告では、仮想通貨業界がリスクの種類を大幅に過小評価している可能性があり、一方で他の業界では、仮想通貨のリスクについて過大評価している可能性もあると指摘している。

国際的な規制ガイダンスが望まれている

セキュリティや法的順守の実践については、回答者全員が、政府機関と非政府組織の両方から、より多くのガイダンスを期待していた。

また、犯罪リスクと取り組む上では政府機関よりもむしろ、「金融活動作業部会(FATF)のような国際的な規制機関」が役割を果たすべきとする回答が最多で、52%を占めた。

FATFは、実際に国際的な規制基準を設定する中心機関となっている。昨年には、仮想通貨取引所などのサービス・プロバイダー(VASP)に対し、取引の際、送金者と受取人の情報を収集・交換し、その情報の正確性を保証することを求める「トラベル・ルール」を発表した。

各国当局や、業界団体がこのルールに合わせるため体制を整え始めている。

仮想通貨の将来性に最も期待しているのはアジア

金融機関で働く人々の、仮想通貨に対する意見については地域差があった。

アジアの金融部門で働く回答者が仮想通貨の将来について最も楽観的で、その約半数(46%)が「5年以内には、仮想通貨の方が法定通貨よりも使いやすくなる」と回答、さらに半数以上(53%)が、仮想通貨は将来、金融包摂のための効果的なツールになると答えた。

世界各国どの地域の回答者も全体的に、将来には、仮想通貨の採用例が増えるかもしれないと指摘しており、仮想通貨が違法行為へ使われる事例は減少すると予測している。

参考:ACAMS-RUSI調査

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