9割近くが仮想通貨の存在を認識
暗号資産(仮想通貨)マイニング企業Genesis Miningが昨年に引き続き、金融について人々の意識調査を実施、仮想通貨やデジタル・ドル(CBDC)についての設問も含まれていた。
調査は、2020年7月28日に400人のアメリカ人を対象として行われたもの。
「ビットコイン(BTC)や仮想通貨について聞いたことがあるか」という質問には、回答者の87.3%が「はい」と回答した。9割近くの人々に認識されていることになる。
また、「ビットコインと仮想通貨についての見方」を問う質問では、「可能性があるかもしれないが、まだ結論を出すには早すぎる」という回答が35%で最も多かった。
また「もっと学びたい気持ちがある」という回答は17%、「仮想通貨はいつか米ドルに取って代わる」という回答は15.5%である。
「犯罪者が使うもの」という回答は最も低率にとどまっていた。
現金への信頼性はまだ高い
「100年後もまだ現金は使われているか?」という設問に対しては、回答者の26.8%が「はい」と予想。25%は「確信が持てない」として、最多である50%弱は、「1世紀後」にはキャッシュレス社会になると信じていた。
しかし一方で、「米国政府は物理的な通貨をデジタルドルに置き換えるべきか」という問いに「はい」と答えたのは24.8%だけで、半数以上が「いいえ」と答えた。
オンライン決済が普及しているが、まだ物理的な通貨への信頼が高いようだ。
ただ、2019年に「はい」と答えた者は13.3%だけだった。一年後の今回の調査では、その数は約2倍に増えており、デジタル通貨を受け入れる意識が広がっていることを示唆している可能性がある。
米国はデジタルドル研究に「真剣に取りかかっている」
米国では、連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が6月に、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)の研究は「真剣に取りかかっている案件の1つ」であると明かした。
「米国経済とドルの世界的立ち位置を維持するため、デジタルドルは、FRBが最先端に立ちつつ、深く理解しなければいけない」とした。
また米国議会のデジタルドルに関する公聴会に際しては、識者から賛否両論が挙がっていた。
デューク大学のNakita Cuttino法学教授は、低所得層は依然として銀行ATMや現金使用に頼っており、デジタルバンキングやインターネットへのアクセスが難しいと指摘。
また消費者データの無断共有など、プライバシー侵害に繋がらないかなどについても懸念を示し、トレードオフされるものは何か見極める必要があるとした。
一方で、仮想通貨関連企業PaxosのCEO Charles Cascarillaは、デジタルドルは、銀行には営業時間の点で利用に制限があることや、国際送金に日数がかかることなどへの解決手段となり得ると示唆している。
欧州は間もなく方針を発表
今月10日、欧州中央銀行のクリスティン・ラガルド総裁は、数週間以内にユーロ圏における中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)の今後の方針について発表すると発言。
CBDCを検討することは「ユーロ圏が世界的なデジタル通貨への移行と決済システムの変化から取り残されないため重要」であり、民間のデジタル決済サービスの台頭も背景として「私たちには、市民が選択権を持ち、他者の一方的な行動のために決済エコシステムから除外されないようにする責任がある」とも述べた。
CBDCについては中国が先進的で実証実験を行う段階まで到達している。ユーロや人民元のデジタル化が研究・検討される中、米国もデジタルドル発行の可能性について調査研究を進めることを促されている。
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