「日常的に仮想通貨が使われている国、世界2位はロシア」Chainalysisレポート

Blockchain

仮想通貨を実践的に採用している国は?

ブロックチェーン分析会社Chainalysisが最新レポートで独自の「仮想通貨採用指標」を考案、世界154ヶ国を対象として、最も仮想通貨の使用が進んでいる国を調査した。

その結果、仮想通貨取引所が多く開設されている経済大国はトップ10にほとんど入っていないことが判明した。中国と米国のみがランクインしており、1位がウクライナ、2位がロシア、3位がベネズエラという結果であった。

4位中国、5位ケニア、6位米国、7位南アフリカ、8位ナイジェリア、9位コロンビア、10位ベトナムと続く。

今回Chainalysisが取り入れた新しい指標は、住民がその金融活動の中で仮想通貨に割いている割合に焦点を当てたものとなる。

一方でChainalysisは「仮想通貨への長期的な投機は、それが最終的に価値の移動と決済のメインストリームな手段になることができるという考えに基づいている可能性が高い」として、草の根のユーザーによる日常的な使用に重点を置く。

どの国で、そうした実際の使用が行われているのかを示すのが、今回開発した指標の目的であるという。

指標の設計方法

指標は、受信したオンチェーンの仮想通貨通貨額、送信されたオンチェーンの小口販売額、オンチェーンの仮想通貨預金の量、P2P取引所における取引量の4つの方向から測定された。

これらの数値は、その国の一人当たり購買力平価、インターネットユーザー数などを加味して調整されている。

例えば、2つの国が同じ量の仮想通貨を受信していた場合では、一人当たりの購買力平価が低い国の方が順位が高くなる。同様に、2つの国に同量の預金が保有されていた場合には、インターネットユーザーの少ない国が上位にランクされる仕組みだ。

購買力平価とは「ある時点における同一の商品は、ひとつの価格になる」という仮説を前提とした理論で、各国の経済力や適正な為替レートを判断するために使われるもの。

応用例としては、各国のマクドナルドで売られている品質が等しいハンバーガーの価格を比べる「ビックマック指数(BMI)」が有名だ。

発展途上国で価値保存と交換の手段

調査結果によると、特に発展途上国では、価値を貯蔵したり交換する媒体となるなど実用的な仮想通貨の使用が盛んである。

ベネズエラでは、自国通貨の価値がインフレによって低下しているときに、仮想通貨の採用が高まっている。このパターンは、他のラテンアメリカ諸国やアフリカ、東アジアなどでも見られるという。

ベネズエラでは2018年に170万%、昨年は7000%超というハイパーインフレにより、深刻な物資不足や法定通貨の切り下げが生じており、貯蓄の価値を維持するためにも仮想通貨が利用されているとみられる。

また、仮想通貨を決済手段として受け付ける店舗が増えていることも背景にあるようだ。

先日、Chainalysisが発表した別のレポートでは、ラテンアメリカからアジア圏への仮想通貨による送金が顕著であったが、それはアジア(特に中国)を拠点とする輸出業者と、そこから商品を購入して自国で小売販売するラテンアメリカの企業との取引だったと分析されていた。

複雑な銀行手続きや高い送金手数料を回避するために、仮想通貨が実際的な商取引に広く使われているという。

今回1位となったウクライナでは、大統領が国家のデジタル化を推奨しており、仮想通貨マイニングにも肯定的だ。コロナ禍によるロックダウンで余った電力についてもエネルギー部門の大臣が、「現代における余分な電力の活用法の1つは、仮想通貨のマイニングである」と発言した。

ウクライナのデジタル変革省によると、ブロックチェーン開発者のコミュニティが大きく技術に通じている人口が多いこと、輸出入取引に関して複雑な規制があること、国内に株式市場がないことなどが、人々を仮想通貨に向かわせる要因になっているという。輸入品支払いのために、テザー(USDT)が広く使用されているとの声もある。

P2Pプラットフォームが不可欠

Chainalysisによると、発展途上国での仮想通貨普及には、P2Pプラットフォームが不可欠だ。

ユーザー同士が直接交換を行うP2P(ピアツーピア)取引所では、プラットフォーム上に仮想通貨や法定通貨を保管することがないため、銀行システムに接続する必要がない。

このため規制上のハードルは低く抑えられており、従来の金融エコシステムから排除されていた発展途上国の住民がより簡単にアクセスできるという。

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