イギリス(UK)は欧州連合(EU)離脱後(ブレグジット)に向けて、UKーEU間自由貿易協定(FTA)の最終局面を迎える。
イギリスのボリス・ジョンソン首相が7日の公式文書で、欧州理事会との最終交渉の期限が10月15日(木)と設定されていることを伝えた。「当日までに合意に至らなければ、自由貿易協定は見込めないと見ている」、と発言した。仮に協議が成功すれば、オーストラリアのような自由貿易協定はEUとも結ぶことになるという。
EUとの交渉は8回目となる。イギリスは今年の1月に正式に欧州連合を離脱してから、EUをはじめ多くの国や国際機関と新たな貿易関係を固めるために様々な協議を行ってきている。
その中で、最も課題となるのがEUとの新たな自由貿易協定とされている。イギリスの総輸出額の6割以上(18年データ)がEUへの輸出だったため、離脱後の経済的関係を維持するために、協議を重ねている。しかし、イギリスはEU加盟国でなくなったため、加盟国と同等な待遇を受けられない点から、協議は難航している状況にある。
自由貿易協定は関税障壁の解消だけでなく、国内投資や新たな雇用機会にもつながるため、イギリスの今後の経済にとって重要な一環だ。
一方、日本との自由貿易協定は妥結される見通し。日本との協定はブレグジット後初の主要な貿易協定で、アメリカなど多くの国との今後の交渉に良好な効果をもたらす可能性が高いと見られている。
さらに、EUとの協議期限は米大統領選(11月3日)に先立つため、グローバル経済への影響で金融セクターでも注目されている。
参考:Prime Minister’s words on EU negotiations: 7 September 2020
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用