フェイクニュースに騙されず、正しい情報を得るにはなにを心がけるべきなのか。ジャーナリストの烏賀陽弘道氏は「コロナ関連の報道では大手メディアにもフェイクニュースが氾濫した。あらゆる活字媒体で働いた経験から、フェイクを捨て、ファクトを得る3つの方法を紹介する」という――。
偽のニュースコンセプト
※写真はイメージです

「情報のカオスの海」でファクトを見定める

筆者は新聞記者→週刊誌記者→編集者→フリー記者と、活字媒体のあらゆる職種を経験してきました。そうした職業生活の中で自然に身につけた「事実の見つけ方」があります。

いま現在、旧型メディアは衰退し、現在の私たちは深くて広い「情報のカオスの海」に投げ出された状況です。そこは虚偽の情報(フェイク)と事実(ファクト)が混在している海でした。

新型コロナ関連の報道でも、数多くのあやふやな情報、フェイクといって構わない情報が氾濫したのはご存じの通りです。膨大な情報からいかにしてフェイクを捨て、ファクトを得るのか。経験則も踏まえながら執筆したのが『フェイクニュースの見分け方』(新潮新書)という本です。

今回はその中からいくつか、私なりの法則を述べてみましょう。

まず、強調したいのは、「証拠となる事実の提示がない『オピニオン』(意見)は全部捨ててかまわない」という法則です。ファクトの裏付けがないオピニオンが社会にとって重要なことはほとんどありません。あっても、それは例外的なことだと考えてよいでしょう。

たとえば、2015年、東日本大震災後、停止していた原発を再稼働するにあたり、ある文芸評論家の方が、懸念を示すコラムを新聞に書いていたことがありました。その理由がいくつも並べて書かれています。