パンテラの予想
米大手仮想通貨投資企業パンテラのDan Morehead CEOは、「ビットコインが今年の8月までに、1,200万円(115,000ドル)に到達することは可能」とする予想をで展開している。blockworksなどが報じた。
報道によると、理由はデジタル通貨の進展やファンダメンタルズにあるとした。
ビットコイン市場は、13日にかけて現物の大量投げなど強い売り圧力が発生したが、懸念されていた3万ドルの重要サポートを割り込むことなく、下値を切り上げた二番底を付けると、明け方にかけて大幅反騰している。
Morehead氏は米12日の会社カンファレンスコールで、ビットコインの価格について、アンダーバリュー(価値より現在価格が低い状況)である点を指摘した。
ビットコインがオーバーバリュー(本来の価値を超えて高騰しすぎている状況)になっているとは思えない。過去3年間、フェアバリュー以下で取引されており、今もアンダーバリューだ。
過去6ヶ月で、価格は大幅に上昇していたが、今後も上昇する余地は十分にある。
115,000ドルになり得る予想の根拠の一つは、デジタル人民元のようなデジタル通貨の進展があると論じた。Morehead氏は銀行口座を持たない人口(アンバンクド)にリーチする動きが世界で拡大しており、デジタル通貨でいう仮想通貨にも大きな後押しになると見ている。金融包摂に取り組むPayPalなどの企業も、グローバル送金や国際的な取引価格を持つ仮想通貨の可能性を見て、取引や送金事業に取り組んでいる実例がある。
デジタル化の波が後押しする金融包摂では、ツイッター社CEOを務めるJack Dorsey氏が手がけるSquare社もアフリカを中心に取り組んでいる。Dorsey氏は、伝統金融インフラが欠如するアフリカ大陸で進む金融デジタル化が急速に進んでいるとして、ビジネス的な側面からも注目している。
仮想通貨に関連したものでは、「アフリカがビットコイン(BTC)の未来を握っている」とする発言のほか、金融機関を介さないDeFi(分散型金融)の発展のきっかけになると注目した。
なお、世界で最も法定通貨のデジタル化が進んでいるとされる中国では、デジタル人民元(DCEP)の仕組みとしてユーザーの取引データなどの個人情報が政府に管理される。仮想通貨取引が中国政府に禁止されている中、仮想通貨取引所を通して取引できず、OTC取引ではAliPayやWeChat Pay利用への取り締まりが強化されていることから、デジタル人民元の普及後も、仮想通貨の購入も政府に制限される可能性は高く、よりトラッキングしやすい中国のDCEPが直接的な仮想通貨市場への資金流入に繋がらないとの見方が強い。
2017年と違う
同社のJoey Krug首席情報責任者は、2017年の仮想通貨バブルと異なる点もビットコイン・仮想通貨全体市場の上昇を支えている要因の一つにあると説明した。
Krug氏によると、2017年のバブル相場では具体的なファンダメンタルズがなく、多くのプロジェクトはメインネットすらローンチしておらず、プロダクトもほぼなかった状態だったと指摘。これは、ただのブームで個人のお金が大量に流入している状況にあったとする意見だ。実際に、名も知られていない仮想通貨が高騰する事例や、ICOに例外なく資金が流れる傾向、それに乗じた詐欺などが多く見られた。
一方、2020年以降は、機関の参入などで、業界も成熟しつつあり、多くのプロジェクトはすでにプロダクトやサービスを提供している点に大きな違いがあるとした。
2017年の仮想通貨バブルは個人投資家によるもので持久力が弱く、今の強気相場は機関投資家も参入することで、市場の底堅さにも変化が見られているとの見解もある。米国の機関投資家を中心に、株式や債券とは値動きが連動しない「代替資産」として保有する動きが実例として、加速している。
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