FATF仮想通貨の国際送金ルール、スイス政府が個人ウォレットの利用規則を導入

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スイス政府独自のルール

国際的な規制機関であるFATF(金融活動作業部会)が推進する仮想資産サービスプロバイダー(VASP)ルールで、スイス政府が個人ウォレットの利用に新たな制限を設ける方針がわかった。

仮想通貨のジャーナリストとして知られるLaura Shinのポッドキャスト取材で、ブロックチェーン分析企業CipherTraceのCEOを務めるDave JevansはスイスにおけるFATF「トラベル・ルール」の導入に関する最新動向について語った。

Jevansによると、スイスでは、ユーザー個人の仮想通貨ウォレット(プライベートな仮想通貨ウォレット)が「認証」されていない場合、仮想通貨取引所はユーザーが資金を取引所のアカウントから認証されていない個人ウォレットへの送金を許可しないことができるという。資金洗浄対策の強化と見られる。

Shinはこのルールはスイス政府が独自で設けるもので、FATFの本来の「トラベル・ルール」に含まれていない規定と説明した。しかし、VASPが個人ウォレットからユーザーの情報を取得することもFATFに勧告されているため、規制の上乗せができるとされている。今回では、導入と実施はスイスの仮想資産サービスプロバイダー(取引所やウォレット業者)とユーザーに留まる。

トラベル・ルールとは、資金洗浄等防止のため国際的な電信送金に関するルールで、仮想通貨取引所などのサービス・プロバイダー(VASP)には取引の際、送金者と受取人の情報を収集・交換し、その情報の正確性を保証することも求められる。

対象となるVASP間の仮想通貨送金で、国際的なKYCルールが適用されることになる。

現在、FATFの加盟国はそれぞれで「トラベル・ルール」の対応を進めているが、Jevansは異なる国・地域のコンプライアンス体制に見られる導入の課題を指摘。

例えば、シンガポールや米国がFATF基準を厳格に施行することを決定したとしよう。そのことは、もし例えばフランスが同じような基準を施行していない場合は、フランスに送金することはできないということにもなるのではないだろうか。そのようにして市場に制限が生じ、グローバルな流動性が失われるかもしれない。こうした状況は、業界にとってよいものにはならないだろう。

ーJevans

FATFは今年10月に、仮想通貨のグローバル規制に係る会合を行う予定だ。「トラベル・ルール」の実施促進のために各国VASPの情報交換・相互協力を強化するなど国際的な枠組みの構築を図るという。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

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