ゴールドが再び高値更新
金価格(XAU/USD)は5日、1オンス=2,000ドルの節目を突破した。
一時2030.6ドルを付けるも、利確売りが先行して2012.7ドルまで値を下げている。現物価格は前年比32%以上上昇しており、銀(シルバー)価格もこれに追従するように30%超の高騰を見せる。
金(ゴールド)は、インフレーションに対するリスクヘッジやリスクの分散化といった理由で投資対象とされてきた。
直近相場では、新型コロナウイルス感染拡大の影響で世界経済や景気回復の遅延が強く懸念されるほか、米国の大規模量的金融緩和策(QE)の影響、米国債の実質利回り低下、米中関係の悪化リスクなどが資金流入に拍車をかけている。
米国債利回り低下は金利のない金需要を喚起することから、米国の実質金利と金価格は一貫して強い逆相関の関係にあるとされる。
オンラインの金取引を強みとする貴金属投資大手BullionVaultは今年3月以降、欧米圏の新型コロナの影響で地金や金貨を販売する小売店が利用できない状況において、顧客数を大幅に拡大している。対面型の実店舗では、移動制限により在庫補給にも影響が生じているという。
Bullionvaultのデータによれば、金を中央銀行の金融政策、政府の財政状況、不安定な金融市場の保険と考える投資家が多い中、資産の保管手段として30世紀以上の歴史を持つ金(ゴールド)は、希少性で言えばプラチナの6倍、銀の18倍に達するほか、世界最大の金生産国であった南アフリカの採掘量は、過去10年間に半減。2008年以来、1オンスの金(ゴールド)の採掘コストは増大している。
参考:BullionVault
どこの国でも同じような価格で換金できる、中央集権が埋蔵量をコントロールできないという意味では、発行体が存在せず採掘上限が定められ、デジタル・ゴールドとしての性質を有するビットコインにも同様のことが言える。米資産運用会社VanEckは今年1月、The Investment Case for Bitcoinと題したレポートのなかで、「恒久性、希少性、匿名性を有するビットコインは貨幣的価値を持っており、デジタル・ゴールドとしてのポテンシャルを秘めている」と指摘した。
金よりも銀との思惑も
ドイツ銀行のストラテジストはCNBCに対し、「銀は金よりも優れている」と語った。世界経済が回復に向かう過程で、さまざまな”産業用途”を持つ銀の需要が急増することを見立てているからだ。銀は、医療用途の増加や5G通信ネットワークの電子部品などでの使用が見込まれている。
11月3日の大統領選挙で、ジョー・バイデンがドナルド・トランプに勝利し、グリーンインフラストラクチャ計画を実現すれば、銀の需要が増える可能性があると評価している。同氏は公約で「クリーンエネルギーやその他インフラストラクチャに向けて、1.7兆ドルのインフラ投資を実施する」ことを掲げている。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用