豪州政府裏付けの金トークン
オーストラリア政府のパース造幣局が保管するする金(ゴールド)を担保にしたステーブルコインが発売されたことがわかった。
Bittrex Global、Ledger、CertiK、Upholdをメンバーに含む仮想通貨関連企業のコンソーシアム「ユニバーサル・プロトコル・アライアンス」がリリースするもので、トークン名は「ユニバーサル・ゴールド(UPXAU)」である。
1ドルから購入可能で、購入できるトークンの数に制限はない。また主流のゴールド商品は月々0.4%の保管料がかかることが多いが、このトークンは無料で保有可能だという。
イーサリアムのブロックチェーン上で検証可能なERC20規格で、セキュリティ会社のCertiKによって監査されている。
Universal Gold (UPXAU) acts like gold, spends like cash and trades like crypto. Buy UPXAU with the Uphold app: https://t.co/H9325cNbSU pic.twitter.com/srjBlzmyRN
— Uphold (@UpholdInc) July 31, 2020
仮想通貨や貴金属・法定通貨の取引アプリUpholdは、UPXAUの利点を以下のようにまとめた。
ユニバーサル・ゴールド(UPXAU)は次のことが出来る唯一のもの。
✓無料で保有できる(ストレージ料金がかからない)
✓政府が裏付けしている
✓最小購入数が設定されていない
✓デビットカードで使用可能
Forbesの報道によると、UPXAUを購入するとすぐにその一部をUpholdのクレジットカードで支払いとして使うことも、現物に変えて受け取ることもできるという。
金の現物配送を保証する「GoldPass」を利用
トークンが作られたきっかけは、Upholdの投資家の一人であるゴールド支持者が、オーストラリア政府が金の現物配送を保証する証明書「GoldPass」を発行していることを偶然知ったことであったという。
投資家がUpholdのCEOにこのプログラムについて知らせたことで、Upholdはこれを使用してユニバーサル・ゴールド・トークンを作成するに至った。
西オーストラリアのパース造幣局は世界最大のゴールドの精錬所で、連邦預金保険公社(FDIC)がアメリカの銀行で保有する米ドルを保証するのと同じように、同社が保有するすべてのゴールドを保証している。
パース造幣局が裏付けするゴールドの仮想通貨トークンは以前からも存在する。オーストラリアのフィンテック企業「Infinigold」は昨年、パース造幣局の所有者である西オーストラリア州政府が保証するゴールドトークン「PMGT」を立ち上げた。
この際「PMGT」は「世界初のソブリンゴールドデジタルトークン」と銘打たれていた。
しかしUpholdによると、これまでもデジタル化されたゴールドの試みはあったが、UPXAUのように「保管料と管理料がゼロ」「金の現物と交換可能」「即日決済」「原資産の裏付け保証」「振込手数料無料」という利便性が揃った投資商品は存在していなかったという。
過去最高値を更新したゴールド
ゴールドの価格は7月末に2000ドルを突破して、過去最高値を更新した。ニューヨーク金先物で中心限月の12月物が2000ドルの大台にのった形だ。
ドル相場の下落や、米中の対立深刻化による世界経済への不安が背景にあり、各国が金融緩和を進める中でも、逃避資産であるゴールドに注目が集まっている。
大手金融メディアのブルームバーグは、米国人は安全資産とされる米ドルの貯蓄からビットコインや株、ゴールドのようなリスクの高い商品に移りつつあるとの分析を発表した。
金融緩和政策や経済刺激策の影響で、銀行の定期預金金利はほぼゼロとなり、投資先として米ドルの魅力は衰えてきたという。
一方で、ゴールド購入には現物を手元で保管する場合、紛失・盗難リスクがあり、専門ストレージを用意すると大抵費用が発生する。また売買手数料を取られることが多く、今回のようなデジタルトークンはそうした課題を改善するものとなりそうだ。
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