SEBA銀行がコルダ(Corda)で証券化サービス開始
スイスの仮想通貨銀行SEBAが、Cordaネットワークを使用して資産の証券化サービスを提供開始することが分かった。
SEBAは、スイスの金融市場監督局FINMAライセンスを有する機関。
デジタル資産の流動性ネットワークである「デジタル資産共有台帳(Digital Asset Shared Ledger:略称DASL)」との提携により、機関投資家にCordaのパブリックネットワーク上で、デジタル証券を発行したり、それに投資することを可能にする。
SEBA銀行は、参加するカストディ顧客向けにウォレットを作成、デジタル証券を発行して、投資家ネットワークに配布する予定だ。
デジタル資産共有台帳(DASL)とは
DASLは、デジタル化された金融商品(債務、株式、担保不可資産)を扱い、法的準拠した独自のデジタル証券を発行するソリューションである。
DASLのインフラストラクチャーでは、デジタル証券の発行、譲渡、ポートフォリオ管理、資産サービス、清算などが可能で、最適化された一連のサービスにより、資産ライフサイクル全体の総コストを削減可能だ。
分散型台帳技術(DLT)ノードのピアツーピアネットワークによりデジタル資産の送金を仲介し、複数のシステム、アプリ、プロセスを横断する相互運用性を実現している。
SEBA銀行のトークン化責任者、Matthew Alexanderは次のように述べた。
各機関がデジタル資産と証券を広範に採用するには、流通、二次取引、流動性を提供する信頼性の高い場所が必要となる。
DASLは、SEBA銀行のデジタル証券製品向けに、安全なプラットフォームをすみやかに提供する。
また、DASLの創設者Richard Crookも、DASLが機関投資家向けのマーケットを加速させることを強調した。
SEBA銀行は、2019年8月に銀行業・証券業のライセンスを取得、仮想通貨と法定通貨の交換を銀行サービスの一部として行っている。
昨年末にはシンガポール、香港、イタリア、ドイツ、イギリス、フランス、オーストリア、ポルトガル、オランダの9ヶ国で新たに口座とサービスの提供を行うと発表した。
「コルダ(Corda)」は金融業界で人気のプロトコル
欧州のB2Bブロックチェーン・スタートアップに特化したベンチャーキャピタル、LeadBlock Partnersが今月発表したレポートによると、Cordaはスタートアップが採用したブロックチェーンプロトコルで上位にランクインしていた。
プロトコル採用率は、イーサリアム(27%)、Hyperledger(20%)、Corda(16%)の順に高く、合計すると全体の2/3近くを占めていた。
また、業種により好まれるプロトコルは異なっており、Cordaは主に、金融サービス分野でインフラとして採用されていた。現在世界40以上の金融機関が使用しているという。
なお、イーサリアムは不動産、芸術文化分野で、Hyperledgerは医療、食品、農業分野で多く取り入れられていた。
日本では、SBIリクイディティマーケット株式会社が国内で初めてCordaを導入し、外国為替コンファメーション(照合作業)に活用している。
取引履歴を業者の間で共有し、注文内容と実際の決済が同じであることを確かめるプロセスをサポートするもの。
手作業による情報の確認漏れやメールの誤送信といったオペレーショナルリスクを低減し、高いプライバシー保護と改竄耐性の確保を図っている。また照合作業の信頼性を向上、情報伝達のリアルタイム化によりバックオフィス作業への円滑なデータ連携も可能にする。
Cordaを採用した理由としては、他のブロックチェーンと比較した際に、プライバシー保護と改竄耐性を合わせ持ち、参加者追加が容易などスケーラビリティの面、またトランザクション処理速度の面などで、金融取引に求められる要件をバランスよく備えていたことがあるという。
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