イスラム金融で仮想通貨取引容認へ
マレーシア証券取引委員会のシャリア・アドバイザリー評議会(SAC)が、仮想通貨を含むデジタル資産の取引を容認する方針を示したことが新たに分かった。
証券取引委員会のDatuk Syed Zaid Albar委員長は7日、Invest Malaysia 2020のオンライン会議セッションで、「SACでは原則として、認可済みのデジタル資産取引所での取引を許可する方針を決議した」と発表。今回の方針が、デジタル資産の大きな発展と投資に繋がる可能性があるとして、革新的なものになると強調した。
マレーシアとイスラム金融
マレーシアのイスラム金融は、イスラム国家としての政治的背景やイスラム教徒人口が多いことを背景に、巡礼基金創設など国内でイスラム金融機関を設立したいという内部的需要や、中東のイスラム銀行の進出等の外部的要因により発展を遂げてきた。
マレーシアでは60%近くがイスラム教徒で、シャリアに基づく金融ビジネスを行うイスラム金融機関も多く存在する。
国家のシャリア・アドバイザリー・カウンシル(Shariah Advisory Council:SAC)は、マレーシアの中央銀行と証券委員会にそれぞれ設置されており、イスラム金融領域において、イスラム法(シャリア)に則った監督を行なっている。
仮想通貨については、イスラム法の準拠が不透明であったことで、イスラム世界での利用率が世界的にも著しく低い状況に陥っていた。各国のシャリーア関連当局は、仮想通貨が許容されるかどうかの裁定を明確にしていないケースがあったが、マレーシアの事例を踏まえ、改めてイスラム世界での利用が拡大する可能性がある。
なお、マレーシア証券取引委員会は現時点で、ザカート(イスラム税)の支払いや相続についての明確な追加の回答は行なっていない。
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