金融市場の動向
米連邦公開市場委員会(FOMC)は、政策金利の誘導レンジを0-0.25%で据え置くことを決定。 2022年までゼロ付近の政策金利を維持するとの見通しを示した。
FOMCは米国の金融政策を決定する会合で、政策金利とは、米国の銀行が連邦中央銀行に預けている無利息の準備預金のことだ。
パウエル議長は中期的に「重大なリスク」に直面しているとの認識を示し、2020年の国内総生産(GDP)を6.5%縮小、失業率は2020年末までに9.3%に達するとの見通しを示した。
これに伴い、新型コロナウイルス感染拡大からの景気回復支援のため、「金融当局としてあらゆる手段を講じる」と明言しており、追加支援の必要性を含有させた。
今年3月にコロナショックで暴落した際には、追証回避売りや現金需要が急速に高まりパニック売りが発生。安全資産とされる金(ゴールド)や米国債のほか、オルタナティブ資産に分類されるビットコインも大きく売られた。
その背景には、高頻度アルゴリズム取引拡大や、近年急速に発達したSNS情報が氾濫・錯綜する「インフォデミック」が、投資家の不安心理を増幅させたことも一因にある。
実体経済や企業業績との乖離が指摘されるなか、過去前例のない規模の金融緩和や財政支出などの経済政策が、昨今の株価上昇の原動力となり、「コロナバブル」の様相を呈す伝統金融市場。株式市場が金余り状態になれば、リスクアセットである仮想通貨市場にも追い風だ。
昨今では、複数の機関投資家がポートフォリオにビットコインを組み入れるなど、金融緩和策などの将来的な影響を見越したリスクヘッジも目立ち始めた。
いずれにせよ、新型コロナの治療薬やワクチン開発には当面の期間を要するほか、経済の戻りは鈍く、先行き不透明な展開は今後も続くものと思われる。
ビットコイン(BTC)市況
11日のビットコイン(BTC)は、前日比0.63%高の106.1万円(9,925ドル)で推移。10,000ドルの心理的節目の攻防となっている。
仮想通貨市場では、出来高減少・流動性低下の弊害もあり、急騰からの急落で上髭と下髭を同時に付ける「ダースモール・ライトセーバー」が続出しており、短期ではストップ(逆指値)狩りのような値動きも目立つ。
上値を強めに叩かれる一方、週足の一目均衡表において雲上を抜けたほか、中・長期移動平均線がともに上向き、短期・中期・長期移動平均線(MA)が順番に並ぶパーフェクトオーダーが確認されていることから、比較的押し目買いが入りやすい状況にあるようにも見受けられる。
5月度マイナー収益は想定よりも高水準
CoinPostと提携する海外大手仮想通貨メディアTHE BLOCKによれば、5月12日のビットコイン半減期でブロック単位のマイニング報酬が12.5 BTCから6.25 BTCに激減したにも関わらず、マイナーの5月度収益は、前月比-11%の推定3億6640万ドルに達した。
この数値は、マイナーが採掘したBTCを即座に売却するという仮定に基づいている。
5月のビットコイン(BTC)価格は、70〜80万円台(6,500〜7,500ドル)を推移していた4月よりも大きく上昇しているが、今回のデータは、90〜100万円(8,000〜9,000ドル)前後でも、大手マイナーの「損益分岐点」を超えていることが示された。マイナーの降伏シグナルなど懸念が生じていたが、難易度調整などを経て、これらネガティブ要因は大きく後退したことになる。
仮想通貨情報に詳しい佐々木徹氏は、以下のように言及している。
ビットコイン採掘会社の株価が半減期後に上昇してるの見ると、1万ドル以下でも十分に採算が取れているという事なんだろうな。もちろんFEDのハイイールド債買い入れは影響してるのだろうけど。 pic.twitter.com/HuQdT17BMX
— Toru Sasaki (暗号通貨&ゴールド好き) (@CocostaGeekend) June 11, 2020
中国大手メディア「吴说区块链」によれば、5月28日時点で中国採掘大手Bitmain製の最新型マシンS19の出荷はすでに始まっており、中国のマイニングファーム等に到着し始めている。