テストネットへのバリデータ参加でAVAトークン獲得
「金融のインターネット構築」を掲げるブロックチェーンプラットフォーム「AVA」が、今年の夏に予定されたメインネットの立ち上げを前に、インセンティブとして合計200万枚のAVAトークンを分配する最終テストネットを開始する。
公式ブログによると、より現実的な条件下でネットワークをテストする「Denali」テストネットで、ノードを立ち上げ、ネットワークのアップグレードに参加し、さらにネットワーク上でノードを維持することで、参加者は一台のノードあたり最大2000AVAを獲得することができるという。
AVAとは
「プラットフォームのためのプラットフォーム」、また「ブロックチェーンのインターネット」と形容されるAVAは、米コーネル大学教授で、ブロックチェーン研究の第一人者とされるEmin Gün Sirerが設立したAVA Labsによる独自ブロックチェーン。Sirerはビットコインに先立って2000年代初頭に、PoWコンセンサスを利用した世界初のデジタル通貨「Karma」を開発したことでも知られ、業界では誰もが一目置く存在だと言える。
昨年5月に公開されたAVAプロジェクトは、同年2月にはアンドリーセン・ホロウイッツやポリチェーン・キャピタル等の著名ベンチャーキャピタルやヘッジファンドから600万ドル(6億5000万円相当)の資金調達に成功している。
AVAは、最長チェーンを選択するビットコインのNakamotoコンセンサスとは異なる、新たなコンセンサスモデルに基づいた「Avalanche」プロトコルを採用している。Avalancheプロトコルは、処理速度とともに分散性やセキュリティの面でも大幅に向上しており、高いトランザクション・スループット(システムレベルで数千/秒)とスケーラビリティを達成するとともに、他のブロックチェーンとの相互運用性とカスタマイズ可能な高い柔軟性を備えているという。
その特徴を生かした実例が、イーサリアムをそのままAVAエンジンに搭載した「Athereum」テストネットのサブネットワークのローンチだろう。このサブネットワークは、イーサリアムの「友好的フォーク」により誕生したイーサリアムの上位互換で、RemixやMEW、Metamaskなどのツールも問題なく動作するとのことだ。
また、AVAはモジュール式であるため、仮想通貨に限定されない、多様なデジタル資産を発行、使用、また取引できる独自のサブネットワークを構築することも可能。プラットフォームのためのプラットフォームと呼ばれる所以となっている。
テストネットの概要
「Denali」テストネットは、今年4月に開始した最初のテストネット「Cascade」を基盤に構築されているが、これまで300名近くの開発者がノードを立ち上げ、運営していた。このテストネットの目的は、分散化された健全なメインネットワークの準備をサポートするAVAバリデータのコミュニティを構築し、教育を深めること、そしてその努力に報いる報酬を与えることだという。
参加者には6月1日から15日の間に、次の三つの「チャレンジ」とそれに対応した報酬が用意されている。
- バリデータになる: 報酬500AVA
- ネットワークのアップグレードに参加: 報酬500AVA
- 健全なノードを最低180時間維持する: 報酬1000AVA
なお、AVAは仮想通貨取引所には上場していないため、一般購入はできない。 また、仮想通貨を利用可能な旅行予約プラットフォーム「Travela.com」の独自仮想通貨AVA(Binanceチェーン基盤)とは、全く異なることも留意したい。
開発コミュニティの構築
ブロックチェーンプロジェクトの成否は著名なリーダーや優秀なプロジェクトチームだけではなく、活発で熱意を持った大規模なコミュニティがあるかどうかにも大きく左右されると言えるだろう。
AVA Labsは、バグバウンティなどのタスクが用意された開発者促進プログラム(DAP)やソーシャルマイニングプラットフォーム「DAO Maker」を利用した貢献参加型プログラム「AVA Hub」への参加を強く呼びかけている。
AVA Labsの公式サイトは10カ国語に対応しているが、日本語での情報発信も積極的に行っており、現在、日本におけるコミュニティ活動を盛り上げるためのマネージャーを募集しているようだ。
コロナパンデミックの影響で、経済の先行きが不安視され、現行の金融システムが抱える多くの問題点が指摘される中、「次世代の金融ネットワーク構築」を目指すAVAが、どのような健闘を見せてくれるのか、注視していきたい。
出典:AVA Labs
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