仮想通貨市況
仮想通貨市場では、93万円(8600ドル)まで大幅下落していたビットコインが再び高騰、一時100万円台(9300ドル)を回復した。
最大手デリバティブ取引所BitMEXでは、「XBT/USD」のショートポジション約1940万ドル(約20億円)のロスカットが確認された。
トレンドライン及び下降ウェッジを上方ブレイク、乱高下を経て9300ドルまで再上昇した形だが、12時時点では9100ドル台まで押し戻されている。
ビットコイン需要の大幅拡大は既定路線か
海外仮想通貨メディアbitcoinistは、「高騰の準備が整うビットコインには4つの需要がある」としてアナリストの見解を取り上げた。
Blockware MiningのCEOは、USD/CNY(米ドル/人民元)の動向を踏まえ、香港やベネズエラの地政学リスクのほか、中央銀行による大規模金融緩和、マイナス金利で資本逃避が起きていることを指摘。デジタルゴールド「ビットコイン(BTC)」の魅力を説いた。
これは、米ニューヨークの投資会社PlaceholderのChris Burniskeによる「中国人民元が米ドルに対して弱くなり続けるのであれば、ビットコイン価格と逆相関した2015〜2016年と似たような推移をたどる可能性がある」との発言を受けたものだ。
If China’s $CNY continues to weaken against $USD, then we could have a 2015 and 2016 repeat (pictured below), where $BTC strength coincided with yuan weakness. https://t.co/ISVJAZMX5O pic.twitter.com/VApfxe1SFw
— Chris Burniske (@cburniske) May 22, 2020
中国の法定通貨である「人民元」は、米ドルとの為替レートを一定水準に維持しているが、Yuan Devaluation(人民元切り下げ)は、中国は米国との貿易摩擦における対応措置としていた経緯がある。
直近では、トランプ大統領は中国共産党に対する批判を強めるなど、新型コロナ感染拡大の責任論をめぐる応酬激化などの影響で事実上の「冷戦状態」にある。また、香港の民主主義をめぐる米国による中国企業に対する制裁と中国側の報復措置を含め、関税をめぐる米中貿易摩擦(通商交渉)の懸念が台頭しており、オフショア人民元相場は過去最低水準まで低下している。
人民元安の影響で、法定通貨の価値が目減りすれば中国資本家のドローダウンは避けられず、これを嫌気したゴールドやビットコインへの資本逃避需要が指摘される。大規模金融緩和による影響に加え、米中間の緊張が高まれば、非中央集権で国境のないパーミッションレス&ボーダレスなビットコイン需要が喚起される可能性がある。