韓国次期大統領、仮想通貨への課税開始の延期を検討=報道

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仮想通貨への課税開始を24年まで延長する案

韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領は、暗号資産(仮想通貨)への課税開始をさらに一年延期する案を検討している。地元メディアが報道した。

韓国は、当初2022年から、仮想通貨への課税を開始する予定だったが、すでに2023年まで延期することを決定。年間250万ウォン(約25万円)を超える仮想通貨収益に22%の率で税金を課す予定としていた。

今回、これをさらに繰り延べ、2024年初めに課税開始するという案が浮上している格好だ。背景としては、まだ仮想通貨を規制する明確な基準が存在していないことがある。課税を始める前に、広い規制基準を設定する必要があるとの認識が、与野党で共有されているという。

現在、韓国では、市場操作などの不正行為に対する処罰を盛り込んだ仮想通貨関連法案が国会に提案されている。ただ、まだ担当委員会で充分に議論がなされておらず、2023年初めには間に合わないと予想されているところだ。

一方で、一部からは「所得があるところに課税する」という税の原則が揺らいでしまうとして、延期を批判する声も上がっている。

「仮想通貨への規制緩和」に期待

9日の韓国大統領選では、仮想通貨業界への規制緩和を掲げる尹錫悦氏が当選した。新大統領として5月から就任する予定だ。尹氏は、選挙活動の際、仮想通貨への課税基準を株式投資と同じ5,240万ウォン(約516万円)に引き上げることも公約としていた経緯がある。

尹錫悦氏が大統領に当選したことで、韓国の仮想通貨業界からは期待が高まっている。

現在、韓国ではICO(イニシャルコインオファリング)が禁止されているが、尹氏はこれを許可することを掲げていた。韓国の業界団体である韓国ブロックチェーン協会の事務総長は、次のようにコメントしている。

私たちは、仮想通貨業界を盛り上げることに自信を持つ尹氏の姿勢を歓迎する。ICOが禁止されている今は、シンガポールなど外国でトークンを発行するしかない状況だ。もしICOが解禁されれば、ベンチャー企業やスタートアップは、投資家から簡単に資金調達ができるようになるだろう。

ICOとは

「Initial Coin Offering/新規仮想通貨公開」のことで、企業やプロジェクトが、独自の仮想通貨トークンを発行・販売し、資金調達する行為を指す。ハイリスクハイリターンで投機的側面が強い反面、各国の法整備が追い付いていないことで、詐欺まがいのICOが横行するなど問題点も多く、国際的な規制強化が協調路線にある。

尹氏は、まずICOよりも安全性が高いとされているIEO(イニシャルエクスチェンジオファリング)を可能にした後、段階的にICOも許可していくことを提案している。尹氏は、仮想通貨取引所がトークンの販売を監督するため、このプロセスはより安全であると指摘していた。

IEOとは

IEO(Initial Exchange Offering) の略称、プロジェクトが開発・発行するトークンの資金調達を仮想通貨取引所が支援する仕組み。IEOは、仮想通貨取引所がトークンの販売業務、多くの場合で上場までサポートする、資金調達を望むプロジェクトに対する一括パッケージのようなもの。仮想通貨やブロックチェーンに関連した新プロジェクトの資金調達が目的であり、取引所を通してトークンを売るため、買う側にとっても信頼性が高いといえる。

The Korea Timesによると、現地のある仮想通貨取引所関係者は、次のように語っている。

尹氏は、仮想通貨市場の規制緩和に関する一連の公約を打ち出しているため、個人投資家だけでなく、企業からも市場に多くの資本が流入するようになることを期待している。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

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