仮想通貨の規制整備へ
ロシアは、暗号資産(仮想通貨)の規制に関するロードマップ(計画表)を作成したことが分かった。ロードマップを入手した現地メディア『RBC』が28日に報じた。
現在はドミトリー・チェルニシェンコ副首相が承認した状態で、最終決定ではない。ロードマップでは、政府の意向として以前から伝えられている通り、仮想通貨を禁止するのではなく規制を整備する方針で、2022年末までの計画を立てている。
RBCによれば、ロードマップの作成には中央銀行や財務省、規制当局、税務機関らの担当者が参加。ロシアの中銀以外は、ロードマップの内容を支持したという。中銀は以前から、国内における仮想通貨の使用やマイニングを禁止したい意向を示している。
ロシアの主な規制内容は以下。
- 本人確認(KYC)の実施
- 取引所にマネーロンダリング対策(AML)とテロ資金供与対策(CFT)を要求
- 監督機関の設立
- ルール違反に対する罰則の制定
また、具体的な規制整備はおおまかに以下のように進める予定である。
- 5月までにP2P取引などのコンプライアンス管理体制を構築(財務省担当)
- 11月までに金融活動作業部会(FATF)のガイダンスを遵守する体制を準備
- 12月までに仮想通貨取引所などの登録・報告のルールを策定
FATFとは
「Financial Action Task Force」の略で、AMLやCFTを監督する国際的な組織のこと。提示するルールや勧告自体に法的拘束力はないが、加盟国に対して審査を実施し、AMLやCFTにおける非協力国リストを公開するため、大きな影響力を持っている。
上記以外では、保有する仮想通貨の報告を要求するための法律を制定したり、海外の取引所が同国で事業を行う場合は、ロシアに事業所を開設することを求めたりするルールを導入する予定だ。
一方で、中銀はこれから「中国がどのように仮想通貨を禁止しているのか」を調査すると報じられている。中国の技術や管理方法などを調べるという。中銀は以前から仮想通貨を禁止したい意向であるため、「今回のロードマップを進めるには、政府と中銀が妥協点を見出す必要がある」との指摘が上がった。
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