インド中銀の最新動向は
インドの中央銀行(RBI)は同国の銀行に対して、暗号資産(仮想通貨)に関連する新たな方針を明らかにした。
5月31日に公開された公式書類でRBIは、銀行が2018年に中央銀行から発表された仮想通貨の禁止政策を顧客に対する仮想通貨投資の「注意事項」の根拠として利用しないよう促した。
RBIは2018年、同国の全銀行が仮想通貨取引所等企業に銀行の口座サービスを提供することを禁止する政策をとっていたが、2020年3月に、インドの最高裁判所が同政策に対して「違憲判断」を下した経緯があり、現在は有効ではない判断である点を強調した。
RBIはこの点について、「一部の銀行は2018年の政策を参考に、顧客が仮想通貨に関わることで注意喚起しているが、最高裁判所はすでに違憲と判断している」と説明している。
その上でRBIは、銀行が今後仮想通貨関連事業者の顧客に銀行サービスを提供する場合、既存のKYC・AML規制を遵守し、デューデリジェンスを徹底して実施する必要性を訴えた。
インドの大手仮想通貨取引所WazirXのNischal Shetty CEOはThe Blockの取材で「今回RBIの発表内容は銀行に明確性を与えただろう」、「銀行は常にデューデリジェンスを行っており、WazirXもKYCやAML措置を重要視しているため、銀行が仮想通貨企業を拒絶しない限り問題はないはずだ」としており、同ニュースを好感する発言を行なっている。
なぜ銀行は未だ参考にしているか
インドでは仮想通貨規制・業界へのアプローチは一向に明確になっていない。
最高裁は2020年に、RBIの2018年の政策を違憲と判断したが、インド政府が未だに明確な仮想通貨規制を制定できなかったことが、銀行がRBIの旧政策を参考にしている背景にあるとの見方は強く、その後の政府機関の発言にも一貫性は見られない。
例に、今年の3月には一時、仮想通貨を全面的に禁止するのではないかとの報道もあったが、Nirmala Sitharaman財務大臣はその後報道内容を否定。ブロックチェーンや仮想通貨について人々が試行を行うための一定の機会を許可すると明言。
5月19日には、インドの大手日刊紙The Economic Timesが情報筋からの話として、政府は仮想通貨の規制を検討するために、新たな委員会を設立しそれらを『デジタル資産』として監督する可能性があると報じた。
当時、ET紙に対し当局の関係者は「全面的な禁止ではなく、仮想通貨の使用を検討する必要があるという見解は政府に見られている」と語っている。
最も近い事例では今月、銀行が取引所やトレーダーとの関係を断つよう、RBIが商業銀行などの金融機関に非公式に呼びかけた事例がロイターに報じられており、方針の先行き不透明感が強い中で再び仮想通貨に対する向かい風が強まる可能性が警戒された。
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