仮想通貨取引所FTXとBitMEX「カーボンニュートラル」へ、環境問題の取り組みを強化

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炭素排出量を軽減する取り組み

暗号資産(仮想通貨)取引所FTXとBitMEXは「カーボンニュートラル」になる計画を発表した。背景にはビットコイン(BTC)などのマイニングが二酸化炭素を多く排出し、環境への負荷になることを指摘される議論が高まっていることがある。

両社は、カーボンオフセット組織(世界の二酸化炭素量を削減する組織)に取引手数料の一部を寄付することで、事業に関連する炭素排出の影響を軽減する予定だ。

FTX公式アカウントは、次のようにツイートした。

ビットコインはエネルギーを一番多く使用する産業ではない。しかし、私たちは仮想通貨業界が環境に与える影響を真剣に考慮している。

そのため、FTXはカーボンニュートラルになることに尽力する。今年は、世界で最も効果的に機能している、いくつかのカーボンオフセット組織に100万ドル(約1億円)を寄付する予定だ。

FTXはこれまでも様々な慈善団体への寄付を集める活動を行ってきたが、最近ブロックチェーンの環境負荷に関して懸念が浮上していることから、カーボンオフセット組織への寄付も開始することに決めたという。

「PoW(プルーフ・オブ・ワーク)は再生可能エネルギーの割合を増やしており、また社会に多くの恩恵をもたらすと信じているものの、環境への影響はゼロではない」としつつ次のように続けた。

仮想通貨は環境保護と両立し得る。私たちは業界のためにその実例を示したいと考えた。そこでカーボンニュートラルになることに尽力する。その上で見つけた最良の方法を業界と共有したい。

炭素削減に取り組む団体に寄付

FTXのCEO、Sam Bankman-Fried氏は、PoW型の仮想通貨がマイニングに消費する電力で、二酸化炭素を排出している分について計算。様々な要素を考慮すると、PoWコインのマイニング1ドル相当ごとに0.0026ドル相当の炭素が排出されるという。

この計算に基づき、FTXは、カーボンニュートラルになるためにユーザーがブロックチェーン上で、ガス代(ブロックチェーンの取引手数料)も含めて1ドルを支払うごとに0.0026ドルを寄付することに決定した。

FTXは今年、ブロックチェーン料金として約6,000万ドル(約65億円)を支払う見込みだ。前述の計算では、カーボンオフセットコストは約15万ドルになる。しかし、計算の不確実性を考慮して額にゆとりを持たせ、CoolEarthなどの組織に100万ドル(約1億円)を寄付するとした。

CoolEarthは、コンゴ、パプアニューギニア、エクアドル、ブラジルなど様々な場所の熱帯雨林について森林伐採を防ぎ、気候変動の影響を軽減しようとする団体だ。

仮想通貨取引所BitMEXも、Bankman-Fried氏の計算を参照し、「ユーザーが支払うブロックチェーン料金1ドルごとに少なくとも0.0026ドルを寄付」すると発表。現在、提携できる環境保護団体を精査しており、今後寄付額や寄付先の詳細も公開するという。

環境負荷を軽減する取り組み続く

BitMEXは「カーボンオフセットは、仮想通貨の環境負荷に関する懸念に答える唯一の方法ではないが、良いスタートになることは確かだ」として、業界は団結してこの課題に取り組む必要があると説明した。

テスラ社は今月初めに「環境への多大なコスト」を理由に、ビットコインの決済受付を撤回したこともあり、仮想通貨の環境負荷に関する懸念は再び持ち上がっていた状況だ。

今回、二つの取引所がこれに素早く対応策を発表するなど、仮想通貨業界も解決策を探り始めている。

また、今年4月には、ブロックチェーンと仮想通貨のエネルギー問題に取り組む国際的業界連合「Crypto Climate Accord(クリプト気候協定)」が発足。2025年までにすべてのブロックチェーンを100%再生可能エネルギーで動かすことを目指しているという。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

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