「ビットコインの上値は限定的か、今月の物価上昇率に要注目」bitbank寄稿の仮想通貨週次市況

Blockchain

今週の相場の動きは

今週のビットコイン(BTC)市場はテスラのビットコイン決済停止が発表されるなど、価格は厳しく下落。一時は反発を見せるも、その後も上値の重い展開が続いている。


目次
  1. 各市場の騰落率
  2. bitbank寄稿

各指標の騰落率一覧

5/7(金)終値時点の週間騰落率は、以下のようになった。

月初来騰落率

年初来騰落率

(今週の騰落率は、先週の終値、今週の終値を用いて計算。月初来、年初来についても前の月、年の終値で計算)

(仮想通貨の価格は取引所コインベースを参照、各銘柄の価格はTradingviewを参照)

5/8〜5/14のBTCチャート

bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)

今週(14日正午時点)のビットコイン(BTC)対円相場は軟調。先週8日のイーロン・マスク氏のサタデー・ナイト・ライブ(SNL)出演を契機にドージコイン(DOGE)相場に事実売りが入り、ビットコインも連れる形で、645万で頭打ちとなり、GW中の上昇モメンタムは完全に消失した格好だ。

9日には、DOGEで決済された民間の月面探査ミッション「DOGE-1 Mission to the Moon」の発表でDOGEが切り返し、ビットコインも620万周辺から反発するも、週明けからのテック株主導の米株市場の下落につられ、600万円割れを試した。

11日にはアルトコイン高が再開し、イーサリアムのイーサ(ETH)やビットコインキャッシュ(BCH)が強含み、ビットコインもジリ高となったが、12日には1時間足の200本移動平均線絡みで上値を重くし、市場予想を大幅に上回った米消費者物価指数(CPI)を受けた米株市場のリスクオフが再び波及。そこに、テスラのビットコイン決済停止の発表がトドメを刺すようにのしかかり、相場は507万円まで安値を広げた。

翌13日の相場は、東京時間に一時560万円まで戻すも、欧州勢参入後に戻り売りが入り反落。米時間にはバイナンスがマネロン関係で米司法省(DOJ)と国内歳入庁(IRS)から捜査を受けているとの報道があり上値を重くしたが、後にCZことバイナンスCEOが捜査に協力していると釈明すると、相場も切り返し、足元、540万円台で推移している。

第1図:BTC対円チャート(1時間足)出所:bitbank.ccより作成

テスラの発表でヒヤッとする場面もあったが、「予想を遥かに上回った米消費者物価指数(CPI、市場予想3.6%→結果4.2%)に対する米連邦準備制度理事会(FRB)の反応」が気になる。

12日の指標発表以来、既に3名の当局者がこれまで通り「今年の物価上昇は一時的」という姿勢を示したが、今回の結果を受けてFRBの姿勢に懐疑的になる市場参加者増えるだろう。また、来月には5月分のCPIが発表される訳だが、昨年の5月は物価上昇率が最も落ち込んだ月であり(第2図)、ベース効果がより顕著に出る可能性があり、またも市場の予想を上回る物価上昇率となるか懸念される

第2図:米消費者物価指数、個人消費支出(前年同月比) 出所:fred.stlouisfed.govより作成

今週のビットコインは記録的な採掘難易度の情報調整を経ており、実需筋の需要回復が示された。2018年末の相場急落後や、昨年の半減期後には、ハッシュレート回復による難易度上昇が相場復調の先行指標となったが、相場が一目均衡表の三役逆転を示現しテクニカル的なセンチメントが悪化する中、速やかな復調シナリオは描き難い。

株価が一旦落ち着いているということもあり、目先は自立反発で戻りを試す展開を想定しているが、上述のFRBの政策を巡る懸念やテクニカル的な要因により、節目やテクニカルのチャートポイントでは戻り売りが出やすいと指摘され、上値は限定的と見ている。

 

寄稿者:長谷川友哉

英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Follow me!

タイトルとURLをコピーしました