DeFiの調査レポートを公開
オランダの大手金融機関INGは、DeFi(分散型金融)に関するレポートを公開した。DeFiの定義や、INGのような中央集権的機関への影響をまとめている。
INGグループは40カ国以上にサービスを展開するグローバルな金融機関で、57,000人の従業員を抱えている。
「Lessons Learned from Decentralised Finance(DeFi)」というタイトルで公開されているレポートでは、DeFiのAAVEを例に挙げ、ComposabilityなどDeFiの持つ各特性の観点から分析を行っている。
DeFiは二つの面を持つコインである
ペーパーでは、まずDeFiの定義について議論を紹介した後、分散型金融について10点の特性を取り上げた。特性の中には、ComposabilityやDecentralisation、Finalityといった概念が含まれている。
その上で、DeFiの実際のユースケースとしてAaveをとりあげている。
Aaveはオープンなレンディングプロトコルとみなされており貸付可能な資金を提供する。伝統的な金融で仲介者が担っていた役割は、スマートコントラクトらに置き換えられている。
Aaveと伝統金融機関との違いとしては、伝統的金融機関が行っていたのは正確には信用創造を通した融資であるため、Aaveの提供するサービスは完全な代替にはならないとの指摘を紹介している。
仮想通貨については信用創造の仕組みが欠けており、CBDC(中央銀行デジタル通貨)の議論でも、この点が経済の縮小を招くとの批判が度々なされる。
ペーパーの結論部分では、DeFiは柔軟性があり、中央集権的な機関はDeFiのボーダーレス性から恩恵を受けるとした一方で、リスク面については研究が必要であり、「完全な分散化は最適ではないかもしれない」と指摘した。
中央集権、非中央集権金融は異なるように見えるが、我々の分析によると、この二つのサービスが組み合わさることで、中央集権や非中央集権金融、そして最も重要である消費者にも便益をもたらすと見ている。
INGの取り組み
INGはペーパーの紹介にあたり、以下のようにコメントしている。
例えば、INGはDeFiプロトコルがどのようにローンを発行しているかを学び、どのようにそれを消費者保護に則った方法に変えられるかを思案することができる。
INGのような機関は消費者保護やリスク管理の経験があるため、「INGのDeFiへの移行にはアドバンテージがある」としている。
INGは、5月6日に行われた2021年第1四半期の決算で、最高技術責任者(CTO)の任命を発表するなど、デジタル領域への進出を強化している。
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