テキサス州で最大プールか
3度目の半減期を終えたばかりの仮想通貨ビットコインにおけるハッシュレート(採掘速度)の内、約60%以上が中華系マイナー・プールに占有されるとされるなか、米国マイニングプールの台頭がみられることがわかった。
米国で稼働開始した新たなプールは、米PayPalの共同創業者Peter Thielが出資した米国発の採掘企業Layer1 Technologyだ。
今年2月よりマイニング業務を始め、年内に2%以上のハッシュレートを出力し、2021年の終わりまでに30%シェアまで拡大することを目標としている。30%とは、既存のF2PoolやBTC.comのシェアに匹敵する。
Layer1 Technologyが稼働する所在地であるテキサス州は、全米においても電気代と税金の安さで知られる州で、グローバル自動車メーカーのGMとトヨタも製造の拠点として工場を稼働している。
そのため、電気代が運営コストの8割以上を占める採掘業者にとって、テキサスは特に適している。米国のマイニングプールLuxor Poolの財務責任者Ethan Veraは、AMBCryptoの取材で、北米と中国の採掘展望について以下のように語った。
長期的に見れば、採掘産業は北米に移る可能性が高い。今後2年間に中国のハッシュレートは65%から50%〜55%まで低下し、一部のマイナーはテキサスに拠点を移すと考えられる。
電気代の面で、テキサスにある複数の市は産業用の電力を住宅用の電力よりも安く売っており、0.0404ドル/kWhや0.048ドル/kWhの地域もあるという。大手マイナーが集中する中国四川省では、基本0.05ドル/kWhの電気代水準だ。
また、ビットコイン採掘といえば、中華系投資家がいち早くビットコインやマシンの投資を行なっていたが、今や米国の投資家も着目し始め、投資を開始しているという。
「今の状況は以前とは異なる。マイニング投資は、米国企業にとって利益のある事業だと認識され始めている」と、Ethan Veraは話した。
日本企業も進出
米国マイナーだけでなく、日本のブロックチェーン関連企業も進出している。
例えばSBIホールディングスは、ドイツのBTCマイニング企業Northern Bitcoinの子会社である米Whinstoneと契約し、テキサス州ロックデール市(Bitmainと同じ地域)で、マイニング事業を開始する予定とされる。
半減期後のビットコインはブロック報酬が減額しており、採算の取れない一部業者の撤退とともに、より優れたインフラで稼働できるマイナーの進出によって、ハッシュレートの競争は一段と厳しくなることが予想される。
参考:AMBCrypto
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用