国内NFTのガイドライン公表
一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は26日、NFT(ノンファンジブルトークン)に関する事業機会及びリスク等についての検討及び論点整理、販売や流通のルール整備を行うことを目的として活動するNFT部会が中心となり、NFTビジネスに関するガイドラインを作成したことを発表した。
NFTマーケットプレイス(ベータ版)をローンチした国内大手取引所コインチェックをはじめ、スクエニやメルカリ、LINE、GMOなどNFT関連事業参入を発表する大企業が相次ぐ中、ビジネスを行う上での法的論点の整理を目的としている。
特に重要なのが、ブロックチェーン上に記録された非代替性トークン(イーサリアム規格のERC-721等)の分類だ。
NFTに関連する独自トークン、及びデジタル資産について、株式の配当に類似した性質を持つ利益分配機能があれば「有価証券」に該当する可能性があるとしたほか、決済手段などの経済的機能を有してる場合は「暗号資産」に分類される可能性もあるとした。
ガイドライン作成の目的と背景
NFTの利用用途はゲーム内アイテムやトレーディングカード・芸術・骨董品・著作権物・電子債権など多岐に渡っていて、それらはすでに資産性を持っており、事業として一定のポテンシャルがある。
一方で、利用用途が多岐に渡るがゆえに、既存及び新規のビジネスにおける各プレイヤーによる整理の方向性が異なっているという問題点があった。
NFTの利用は、今後業界・業種を問わず、さまざまな分野に広がっていくことが予想されるが、その反面、未成熟な市場であるがゆえに、規制が不明瞭なICO黎明期のように不測の事態を招くとの懸念も強い。
そのような状況にある中JBCAは、業界団体に加盟する会員企業NFTに関連する事業へ参入することを促進すると共に、会員企業によるNFT関連サービスの適正かつ円滑な運営を通じ、ユーザーにとって安心・安全な利用環境を提供することにより、健全な市場育成や充実した商品やサービスの選択肢拡充のベースを目指す。
実態に則さない過剰規制懸念も
金融庁が示唆するNFT業界への過剰規制が国内産業のイノベーション衰退を招きかねないとの警戒感がある中、NFT事業に精通した業界団体を中心に、事業機会及びリスク等についての検討及び論点整理を進めることで、「不適切な一律規制」の適用を回避し、範囲を明確化することで正しい認知を促したい考えだと思われる。
日本は、アニメ・マンガ・ゲーム等のコンテンツ産業、及びクリエイティブ産業規模が世界的にも大きく発展しており、内閣府の「クールジャパン戦略」でも、日本の魅力として発信されてきた経緯がある。クールジャパン戦略と特に親和性の高いNFT関連事業において、実態から乖離した過剰規制で国際競争力を失えば、優秀な人材の海外流出やイノベーション停滞で海外の先進国に後塵を拝することも危惧される。
日本暗号資産ビジネス協会は、「業界内外の関連する団体や官公庁との間で建設的な議論を継続的に行い、NFTに対する認識を共有し理解を深めるとともに、業界や市場の変化に応じて、随時本ガイドラインの見直しを行っていく」としている。
「NFT部会」では、本ガイドラインを基にNFTのユースケースを取りまとめ、会員企業のビジネスの活性化を図っていく。
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