利用例を増やすJumpNet
NFT(Non-Fungible Token/非代替性トークン)関連の開発で知られるEnjin(エンジン)は、高速処理を特徴としたガス代不要のNFT特化型ブロックチェーン「JumpNet」を4月6日にローンチ。発表から約2週間で既に、大手IT企業マイクロソフトや大手仮想通貨取引所バイナンスなど、50以上のNFT関連プロジェクトが利用を開始している。国内では、ブロックチェーンゲームの開発を行うCryptoGamesが、VTuber「雲母(きらら)ミミ」などのNFTをJumpNet上で発行した。
EnjinのDeveloper Success代表、Simon Kertonegoro氏は、JumpNetおよびNFTの人気に関して、以下のコメントを出している。
JumpNetは、Enjinのエコシステムにおける開発スピードに大きな変化をもたらしました。発行と取引が自由にできるようになったことで、ほぼすべてのプロジェクトがJumpNetに移行しています。私たちのNFTツールへの関心は急激に高まっており、今後数週間でこれらの統合が開始されるでしょう。NFTユーザーには、JumpNetでの体験を気に入ってもらえると思います。
マイクロソフトがNFTで報酬付与
大手IT企業マイクロソフトは、同社が開発を行うクラウドサービス「Azure」の開発者向け報酬プログラム「Azure Heroes」にて、NFT技術およびJumpNetを活用している。
Azure Heroesでは、タスクを完了したコミュニティメンバーや、Azureへ貢献した開発者へ、NFTの形で表されたアナグマのバッジ(アナグマを意味する『badger』とバッジ『badge』の言葉遊び)を報酬として付与している。このアナグマの報酬は、学習者(Learner)、配達人(Courier)、Maker(作り手)および賛辞(Kudos)の種類に分けられ、JumpNet上で発行されている。ステータスや貢献方法に応じて、異なる種類のNFTが対象者へ配布されている。
NFTで報酬が付与されることにより、各報酬の希少性が保証されているだけでなく、コミュニティメンバーの取り組みや貢献を、偽造不可能な方法で認知してもらうことができる。またAzure Heroesは、JumpNetが環境に配慮したエコフレンドリーなチェーンであることにも触れ、「消費電力がイーサリアムブロックチェーンの99%以下であるEnjinのJumpNetでNFTを発行でき光栄に思う」と公式Twitterで述べている。
Have you met the newest #AzureHeroes badgers?
We are proud to create our NFTs on @enjin JumpNet, which consumes 99% less of the electricity of the Ethereum blockchain.
Better for our community and the environment!💚
Get involved: https://t.co/dIYEizE5ZP pic.twitter.com/N70eHO2lJh
— Azure Heroes (@AzureHeroes) April 15, 2021
4月15日から17日にかけてマイクロソフトが開催したバーチャルイベント「Global Azure」では、Enjin開発のQRコードを利用したトークン配布サービス「Beam」を介し、7,000のNFTが配布されている。
メタバースのアバター作成
3月にEnjinとの提携を発表した韓国のゲーム特化型SNS開発企業Ludena Protocol(ルデナプロトコル)は、メタバース(仮想世界)での利用を見据えたアバター「LUNA」のNFTを、JumpNet上で発行。LUNAはあくまで試験運転用に作成されたNFTではあるが、今後開発が進むにつれ、Ludena ProtocolのユーザーもJumpNet上のNFTにアクセスできるようになるという。
Ludena ProtocolのCEO、Joshua Kim氏は、Enjinとの提携およびJumpNetでのNFT発行について、以下のように述べている。
Enjinとの連携により、JumpNetのカーボンニュートラルなNFTのライフサイクルテストを、韓国で最初に成功させることができました。JumpNetにより、Ludena WorldのメタバースやアバターのLunaを含むNFTの展開が、ガス代なしで迅速に実施できるようになりました。
中央集権型取引所の注目
JumpNetへは、多くの中央集権型取引所も関心を示している。
EUを拠点とした取引所「Kriptomat」は、アップグレード可能なNFTをJumpNet上で発行し、ユーザーへ特典として配布することを計画している。このプロジェクトでは、enjin.io上にあるKriptomatの取引所サービスを利用したユーザーは、サービス利用の特典として「偽造されていない(unforged)」NFTを、自身のウォレットで受け取ることができる。追加購入があった場合、ユーザーは受け取ったNFTをレベルアップさせ、Enjinの提携プロジェクトであるKingdom KarnageやMeta City Minecraftなどのゲームで利用することができる仕組みだ。
また、大手仮想通貨取引所バイナンスは、独自のパーカーをNFT化し配布。中には3,000ドル相当(約30万円)のEnjin Coin(ENJ)が裏付けされたものもあった。このトークン化されたパーカーは、実際にLost Relics、MyMetaverseおよびChrono Gamesのゲーム内で着用可能だ。
3月にENJを上場した中華系仮想通貨取引所のOKExは、上場を記念したコレクティブル(収集可能アイテム)を、NFTの形でJumpNet上にて発行している。
国内でのJumpNet活用例
日本国内では、Vtuber事業者向けのNFTソリューション「VtuberNFT」を提供している「CryptoGames」が、17万人以上の登録者数を誇るVtuber、雲母ミミのNFTを200枚限定で発行。Enjin開発のBeamを介し、YouTubeでのライブ配信中にエアドロップ(無料配布)された。VtuberがNFT化されるのは、世界初だという。
今回エアドロップされたのは、雲母ミミの通常衣装バージョンだが、4月29日からはEnjinが開発を行うNFT市場「Enjin Marketplace」にて、「雲母ミミ17万人記念チアリーダーver.」のNFTが10枚限定で発売される予定だ。将来的には両種類とも、NFTに対応したMinecraftサーバー「MyMetaverse」にて利用可能になるという。
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