XRPL修正案、パブリックベータ開始
XRPレジャー(XRPの分散型台帳)でのソフトウェア開発を手がけるXRPL Labsが20日、暗号資産(仮想通貨)XRP(リップル)にスマートコントラクト機能を実装する修正案「Hooks」のパブリックベータテストのローンチを発表した。テストやコードの検査を経た後、年末までに正式なXRP台帳の修正案として提出することを目指す。
XRPL Labsは米リップル社(投資部門Xpring)から出資を受けたスタートアップ。公式サイトによれば、「コールドストレージからトランザクション署名アプリケーションまで、XRP台帳でのソフトウェアの構築を専門」とする。
これまでにはウォレット兼決済型アプリの「Xumm」をリリースしており、仮想通貨XRPの保管とP2P決済を可能にしていた。
今回XRPL LabsはXRP台帳自体にスマートコントラクト機能を追加する修正案「Hooks」のパブリックベータテストの開始を発表。開発者などにテストネットの試用を求めた。
July 30th 2020 we announced our vision on the Hooks Amendment for the XRP Ledger to add business logic support (smart contracts) to the XRP Ledger.
We published blogs, insights, concepts & considerations along the way. We are really proud to present our PUBLIC BETA TESTNET today. pic.twitter.com/3DytxM27DD— XRPL Labs (@XRPLLabs) April 19, 2021
公式サイトによれば、HooksはXRP台帳(レジャー)にスマートコントラクトを実装する新機能で、XRPL上のトランザクションの前後に簡単なコードを追加。これによりトランザクションとともに「ロジック」を遂行することが可能になるという。
概念としてHooksの構想は昨夏XRPL Labsが発表していたが、XRPL Labsの創設者であるWietse Wind氏は昨年閃いたアイデアをXRP台帳の修正案にするまでには約9から10ヶ月かかったとコメント。「不可能に近いものを1年足らずで構築した」と開発陣の奮闘を称えた。
XRPとスマートコントラクト
昨夏のDeFiブームや、今年に入ってからのNFTブームなどここ数年間ではイーサリアム・ネットワークで見られるスマートコントラクト機能を活用したブロックチェーンの活用事例が台頭している。
国際送金や国境間決済に重点を置く仮想通貨XRP(リップル)だが、今回の「Hooks」以外でもスマートコントラクト機能の実装を目指すプロジェクトでは6月末頃にメインネットのローンチを目指すFlare Networksが挙げられる。
XRPL Labsと同様フレアネットワークも、リップル社の投資部門Xpringが出資を行うプロジェクトで、XRPにスマートコントラクト機能を追加しようとする点は類似している。ただしFlare NetworkではXRP台帳に直接スマートコントラクト機能を追加する訳ではなく、一旦Flare Network上でF-Assetと呼ばれる代替トークンFXRPに交換する必要がある。
またFlare Network上はトラストレスな形でライトコイン(LTC)やドージコイン(DOGE)、ステラ(XLM)など他チェーンも対応を表明しているため、相互運用性の向上も見込まれる。他にもFlare Network上ではDeFiプラットフォームの活用が予定されている。
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