今週の相場の動きは
ビットコイン(BTC)市場は14日、705.5万円と過去最高値を約1ヶ月ぶりに更新した。また同日に米大手取引所コインベースはナスダックに上場している。
各指標の騰落率一覧
4/16(金)終値時点の週間騰落率は、以下のようになった。
月初来騰落率
年初来騰落率
(今週の騰落率は、先週の終値、今週の終値を用いて計算。月初来、年初来についても前の月、年の終値で計算)
(仮想通貨の価格は取引所コインベースを参照、各銘柄の価格はTradingviewを参照)
4/10〜4/16のBTCチャート
bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
今週(16日正午時点)のビットコイン(BTC)対円相場は、14日に過去最高値を更新し705.5万円を記録するも、その後はやや軟調な推移となり、680万円周辺での推移となっている。
14日のコインベースのナスダック上々を控え、今週の暗号資産(仮想通貨)市場では循環物色が加速。先週はアルトコインにスポットライトを奪われたビットコインも、市場占有率(ドミナンス)が50%台前半まで低下したこともあり、買いが戻ってきた。これにより、ビットコイン相場は13日、6万ドルと3月高値水準(第1図内赤線と紫線)の上抜けに成功した。
一方、14日の米市場寄り付き直前より、コインベース上場によるSell the Fact的な売りが入り、ビットコインは高値705.5万円から反落し、コインベース株が寄り付き後の上昇から急反落するのに連れて一時は3月高値を割り込んだ。ただ、コインベースの上場初日の終値は、ナスダックが事前に算出した参照レートの250ドルを上回る結果となると、ビットコインには押し目買いが入り速やかに3月高値を奪回した。
15日からは、コインベース上々とイーサリアム(ETH)のベルリン通過により、材料出尽くし感で、680万円周辺で方向感に欠ける展開となっているが、足元、中国北西部・新疆ウイグル自治区での停電で、ハッシュレートに影響が出ているとの情報が転がり込み、ビットコインは上値を重くし始めている。
今週の仮想通貨市場はコインベース上場に注目が集まったが、米金融政策でも注目材料があった。13日発表の米消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で2.6%と2月の1.7%から大きく上昇したが、パウエル米連邦準備制度(FRB)議長は「一時的な物価上昇」という見解を強調した。15日には、サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁も雇用と物価が当局の掲げる目標から程遠いとの見方を示し、インフレ進行による市場の政策引き締め懸念を落ち着かせる形となっている。
これにより、今週の金融市場では米国債利回りが低下。これがドル売りにもつながっており、昨年のビットコイン相場を支えた環境が再現されつつある。直近では、コインベース上場という目玉イベントが仮想通貨市場の注目の的となったが、インフレ加速でも金融緩和が維持されることに加え、堅調な米指標(失業保険申請数低下+小売売上高改善)によるリスクオンムードはビットコインに追い風となろう。
ただ、目先ではハッシュレートの状況を見極める必要もあり、高値圏での突っ込みには注意したい。ビットコイン相場のサポートの目安としては、6万ドルから3月高値水準の652万円〜672万円エリアがあり、この水準を維持できるかがテクニカル的に重要なポイントとなろう。
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