CBECとビットコインの競争
中国などが世界に先んじて開発・導入を進めている中央銀行デジタル通貨(CBDC)だが、ビットコインにはどのような影響をもたらすのか。暗号資産(仮想通貨)取引所AAXは考察レポートを公開した。
2019年に国際通貨基金(IMF)は2019年にデジタルマネーに関する論文を公開している。しかし、論文から2年が経とうとしている中、いまだにCBDCに関する議論は限られたものになっているという。
レポートは、信頼や所有権、運営機関といった観点での議論において、CBDCはビットコインにとっての脅威にはなりえないとする。
CBDC、BTCの利点とは
中央銀行デジタル通貨(CBDC)は多くの利益をもたらすとの言説も多い。国際関係においては、個人の国際送金や、銀行間送金などを最適化でき、また中国はその一帯一路構想において、CBDCで米国の覇権に挑戦しようとしていることが挙げられる。
国内においては、発展途上国でリープフロッグを起こす技術として注目され、税政策の強化や、補助金のスムーズな配布なども期待される分野だ。
一方で、ビットコインはパンデミックの中でインフレに対するヘッジ、法定通貨に代わる手段として利用や普及が進んだ。
また、ビットコインはプライバシーや所有権、信頼性や金融機関を巡るいくつかの信条にその誕生時から根を生やしており、それがHODLerと呼ばれる熱心なビットコイン保有者を生み出してきたとレポートは述べる。
ビットコインのユーザーが1億5000万人であるのは、1996年のインターネットと同等にあるというアナリストの分析も紹介された。ネットワークの成長率を加味すると、今後4年以内にビットコインは10億人のユーザーに達する可能性があるという。
鍵はグローバルに
ビットコインがグローバルな取引で使用されるようになった場合、「国家が新たなシステムや通貨を国民に売りつけるのは難しいだろう」とCBDCについてレポートでは述べられている。
参考になるのが、いわゆるSplinternetに関する一連の議論だという。スプリンターネット(Splinternet)とは米国と中国との間で、インターネットが分断する可能性を示したものだ。
デジタル通貨における覇権は、ますます拡大するデジタル経済上での覇権争いにおいて、重要な駒となる。そのため、決済の分断(政治的な理由による流動性、決済のマルチバース)が起きるとレポートは予想している。
それゆえ、真の戦いは人々の考えにあり、政府の法定通貨に対する信頼を回復できるかというところにあるでしょう。
また、国境を持たないビットコインは、小さな群島国家や市では準備通貨としてむしろCBDCの裏付けに使用されうるという。
AAXとは
AAXは2018年に設立された仮想通貨取引所で、マルタに本拠地を置く。ロンドン証券取引所グループ(LSEG)のテクノロジーを採用した世界初のデジタル資産取引所で、LSEGの堅牢でスケーラブルな技術により、高いパフォーマンスと信頼性を提供する。
OTC取引、スポット取引、先物取引を用意、厳選された幅広い仮想通貨やデジタル資産を取り扱っており、安全性・流動性・高速取引も提供している。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用